漁業で得られる生物情報:ふぐ延縄漁で獲られる魚たち

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漁業で得られる生物情報:ふぐ延縄漁で獲られる魚たち

2021-01-08T18:14:17+09:00 2021年1月7日|Categories: ALL 生物 社会|Tags: , , |

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いまが旬のふぐ料理のフグはどうやって獲られて来るのでしょうか?今回は、瀬戸内海西部、山口県周防灘の漁場で行うふぐ延縄(はえなわ)漁に同行して、漁獲されたフグ類の画像を撮影させていただいきました。その体験レポートです。

ふぐ料理のフグは?

ふぐ料理で最も有名なのがトラフグ(Takifugu rubripes)ですが、フグ目に属する20種ほどが食用とされているそうです。多くのフグが体内に猛毒のテトロドトキシンを持つため、調理には専門の免許が必要なのは有名ですね。そもそも、フグの仲間は同じような体形をしているものが多いので、識別はとても難しいです。

ふぐ延縄漁

ふぐ延縄漁で獲られたシロサバフグ

どうやってフグを獲るの?

実際に漁師さんに同行させていただきました!1本の幹縄に多数の枝針を付けた延縄(はえなわ)という仕掛けを海底に這わせて、フグの仲間を専門に狙う漁法がふぐ延縄漁です。10メートル間隔で1000本以上の枝針を流して、魚を釣り上げます。目当てのフグだけをより分け、食用とならない魚は針から外して海へ返します。この作業を延々と4時間以上続けていきます。

フグ類の見分け方

今回の漁では、以下の5種類のフグが釣れました。

トラフグ属:トラフグ、マフグ、ショウサイフグ、コモンフグ
サバフグ属:シロサバフグ

トラフグは虎の名の通り大きくて、模様が特徴的です。シロサバフグ(Lagocephalus spadiceus)は細長くて角ばった体形をしています。また、背面と腹部に細かい突起があります。

シロサバフグ

シロサバフグ

トラフグ以外のトラフグ属3種(マフグ、コモンフグ、ショウサイフグ)は見た目がよく似ています。

背面が褐色で腹部に黄色いラインがあるのがマフグ(Takifugu porphyreus)です。コモンフグ(Takifugu poecilonotus)とショウサイフグ(Takifugu snyderi)は背中の斑紋や尻びれの色が異なります。斑紋が褐色で、尻びれが黄色いのがコモンフグで、斑紋も尻びれも白っぽいのがショウサイフグです。2種を見比べてみると何となくわかりますが、漁師さんはこれを一瞬でどうやって見分けているのでしょうか?

トラフグ属の3種

トラフグ属の3種

コモンフグとショウサイフグは体表面のざらつき具合が違うそうで、漁師さんは触っただけでそれらを識別できるそうです。このようにほかのフグ類も手触りが違うので、プロは見なくても触ればこれらの種類を識別できるそうです。フグ類の同定には見た目だけでなく、触覚も使って行うのが有効なようです。

ショウサイフグとコモンフグ
ショウサイフグとコモンフグ

漁獲データ×バイオームの利用

水産庁の水産統計データは水揚げされた港ごとに収集されるのが一般的です。よって、沖合での正確な分布情報はほとんどありません。また、集計されるのは水産対象種に限られます。今回の延縄漁では、フグ類5種に限られますが、フグ類以外にも計18種、200件以上の海洋生物が漁獲されました。得られた画像データはバイオームのデータベースで活用させていただく予定です。今後、こうした漁獲データが水産資源の適切な管理と生物多様性の保全にも役立つのではないかと期待されます。

一般の方は調理しないでください!!

本記事で紹介したフグには、類似した近縁種も多く存在します。専門知識を持たない方が種を判断して調理するのは極めて危険です。フグの処理は、フグを取扱う資格を持つ専門の方にお願いしてください。