トマトが真っ赤に実る季節です。もうすぐ食べようと楽しみにしていた、菜園のトマトが翌朝に無くなっているという事件が起こりました。犯人はダレだ!
畑のトマト
畑に植えたトマトには、押しつぶしたような跡が残った食べ残しのトマトがたくさん落ちていました。
カメラトラップを仕掛けてみると、夜中の2時頃、犯人が現れました。
目と目の間のはっきりとした白いライン。長い尻尾。畑のトマトを食べた犯人は、ハクビシン Paguma larvata でした。一つずつ順番に食べてくれたらまだ良いのですが、かじっては捨てながら美味しいものを探しているようです。ハクビシンにも「もったいない」の精神を持ってもらいたいものです。
ハクビシンってどんな動物?
ハクビシンはジャコウネコ科ハクビシン属の動物で、日本に生息する唯一のジャコウネコ科の動物で、外来種であると考えられています。東南アジア、南アジアに生息しています。頭胴長は65cmほど、体重は3.6〜6キロほどです。猫と同じか少し大きいくらいのサイズです。
↓同じ場所に現れたネコとハクビシンの体サイズの比較
ハクビシンは雑食性で、小動物や鳥を襲って食べることもありますが、果実を特に好んで食べます。トウモロコシ、ミカン、ナシ、カキなど様々な農作物を食べることが報告されています。樹木に登るのが得意なため、落ちてきた実を食べるタヌキやアナグマと異なり、果樹の枝に実る実を食べることができます。夜行性であるため、生息している地域でも直接見かけることはほとんどありませんが、夜中に住宅街のブロック塀の上を猫が歩いていると思ったら、よく見るとハクビシンだったということがありました。
マンションのベランダのトマト
マンションの6階の鉢植えのトマトも、何者かに持ち去られました。こちらも、カメラトラップに犯人が写りました。
ハシブトガラスが2羽でやってきて、1つずつトマトをくわえて持っていきました。
カラスもトマトが大好きなようです。一度食べると味をしめたのか、その後、少し色が付き始めたものまで片っ端から持っていってしまいました。しかし、ハクビシンのように取ったものをその場で捨てるようなことはありませんでした。
どうしてハクビシンは、食べ残しが多いのか。
カラスは昼間に動き、かつ赤と緑を見分けることができるため、食べられないものまで無駄に取ることは少ないと考えられます。一方ハクビシンは、夜に動き、かつ色覚がそれほど発達していないため、色によってトマトの熟度を判断することが難しいと考えられます。そのため、熟度を判断するのに、試しにかじってみるのではないかと考えられます。食べ残しが多くなる傾向はこのためかもしれません。