ダンゴムシ見てるとカニが食べたくなるよね

2024年5月20日 生物
オカダンゴムシ

ダンゴムシは身近な環境でよく見られる上に、子供でも容易に捕まえられることもあって、馴染深い虫です。脚がたくさんあり、ムカデやヤスデに近いグループに見えますが、実は全く異なる分類群に属します。ダンゴムシは一体何者なのでしょう。

ダンゴムシとは?

オカダンゴムシonタンポポ

オカダンゴムシ:稀に花の上で見られます。

ダンゴムシとは、フナムシ科やワラジムシ科なども含まれるワラジムシ目のうち刺激を受けると丸まる生物を指し、オカダンゴムシ科、コシビロダンゴムシ科、ハマダンゴムシ科の3科が含まれます。ちなみに、ダンゴムシと同様に刺激を受けると丸まるタマヤスデという生き物もあり、見た目もダンゴムシに非常に似ています。

タマヤスデ

タマヤスデ

しかし、こちらはタマヤスデ上目の生物であり、ダンゴムシとは進化的に大きく異なる生き物です。

昆虫よりもエビ・カニに近いダンゴムシ

サワガニ2

サワガニ

ダンゴムシは、節足動物門 甲殻亜門 軟甲綱に含まれ、カニやエビ、シャコ類、オキアミ類などに近い生物です。一方昆虫は、節足動物門 六脚亜門 昆虫綱に含まれます。昆虫はすべて6本脚ですが、ダンゴムシは脚が14本もあります。また、ダンゴムシと同じようにたくさんの脚を持つムカデやヤスデは多足亜門に属しており、実は昆虫よりもさらにダンゴムシとは遠縁の関係です。

よくみるダンゴムシは外来種

日頃公園や庭でゴロゴロ出てくるダンゴムシは、ほとんどがオカダンゴムシ Armadillidium vulgare です。この種はヨーロッパの地中海沿岸原産であり、日本には明治時代以降に入ったと考えられています。もともと日本に生息するダンゴムシは、コシビロダンゴムシ科とハマダンゴムシ科の2科です。コシビロダンゴムシ科の種は乾燥に弱く落ち葉が多い環境を好むため、撹乱の小さな森林に生息します。ハマダンゴムシ科の種は海岸近くにのみ生息します。

コシビロダンゴムシ科

コシビロダンゴムシ科:よく見るオカダンゴムシと比べて尾節の先端の幅が広い

一方、オカダンゴムシは、乾燥したpHの高い(酸度が低い)環境を好みます。湿り気のある腐葉土の多い環境よりも、乾燥し分解中の腐葉土が少ない土壌の方が一般にpHは高いため、公園や庭など人の撹乱を強く受けた環境は、在来のダンゴムシよりも外来のオカダンゴムシの生息に適した環境であると考えられます。江戸時代以前の日本では、庭いじりをしても今ほどもダンゴムシに出会うことはなかったのかもしれません。