夏バテしないオクラ

真夏の暑さで他の野菜が弱り気味の中、オクラは大きな白い花を咲かせて次々と実をつけてくれます。その強さ、あのネバネバからきているのかもしれません。
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オクラとは?

オクラ Abelmoschus esculentus は、アオイ科トロロアオイ属の植物です。原産地はアフリカ北東部です。紀元前から食用に利用されてきたと考えられており、現在では北アフリカ、西アフリカ、中東、西インド諸島、アメリカ、オーストラリア、インド、ベトナムなど、オクラを食べる地域は、世界に多くあります。
オクラという名前の由来は、英名の”okra”です。和名ではアメリカネリと言います。製紙用の糊の原料や、蕎麦やかまぼこのつなぎとして利用されるネリ(トロロアオイ)という植物に近縁であることからこの名がつきましたが、原産地は上述の通りアメリカではありません。
アメリカ南部では、西アフリカからの奴隷によって栽培が始まり、現在も栽培されているという歴史があります。日本にオクラが渡来したのは幕末の頃で、全国的に食べられるようになったのは1970年代頃からです。

オクラの生態

オクラは熱帯では多年草ですが、日本では冬の寒さに耐えられないため一年草として栽培されます。アオイ科であるオクラは、同様にアオイ科であるフヨウやムクゲに似た直径10cmほどの美しい白い花を咲かせます。野菜として美味しいだけでなく、花も楽しめる植物です。

短日植物であり、夏至を超えて日が短くなり始めると花を咲かせます。一日花ですが、頂芽に次々と蕾ができ、元気な株では次から次に花を咲かせます。野菜として一般的に使われているオクラは、花が咲いてから3-4日後の未熟果です。
オクラはなぜネバネバするの?

オクラといえばネバネバです。このネバネバの正体はムチレージと呼ばれる糖タンパク質で、ほとんどの植物が生成する成分の一種です。ムチレージは水分の保持や栄養の貯蔵、種子の発芽の際の水分の供給源などに利用されます。また、食虫植物のモウセンゴケが昆虫を捕えるのに分泌する成分もムチレージです。

オクラは他の植物に比べて、特にネバネバしていますが、アロエやサボテンなどの多肉植物もムチレージを多く持っているものが多いです。多肉植物には乾燥地帯に生えるものが多く、植物体内に水分を保持するのにムチレージが役立っていると考えられます。オクラが夏の炎天下でも元気に育つのは、このネバネバ成分のムチレージが乾燥からオクラを守っているおかげかもしれません。