植物に白い綿毛のようなものがいっぱいくっついていたら、それは、アオバハゴロモの幼虫かもしれません。それを見つけたら、美しい姿の成虫も近くで見つけられるかもしれません。今回は、成長することで大きく見た目を変えるアオバハゴロモについてのお話です。
アオバハゴロモとは?
カメムシ目アオバハゴロモ科の昆虫です。
学名はGeisha distinctissimaであり、Geisha = 芸者と名がつけられるほど成虫は美しい姿をしています。成虫の大きさは、9-11mmで、全身薄緑色をしていますが後翅の縁のみ薄赤色です。日本、中国、台湾に分布し、日本では本州以南でみられます。
照葉樹林で集団を作っているのがよく見られます。広食性であり、柑橘類やツバキ類などさまざまな植物に口吻を差し込み、汁を吸います。成虫、幼虫ともに同じものを食べます。果樹やお茶などの作物にもつきますが、実害が出ることは少ないようです。
いるとすぐわかる幼虫
集団でいることが多いためか、成虫もよく目に付きます。幼虫も簡単に見つけられます。というのも、アオバハゴロモの幼虫が吸汁している植物はこんな感じになってしまうからです。
幼虫は、白い綿状の蝋物質を分泌します。成虫とあまりに雰囲気が異なるため、そうであると認識していない方も多いかもしれません。アオバハゴロモの幼虫と同様に白い蝋物質を分泌するカイガラムシがいますが、アオバハゴロモの幼虫は近づくとジャンプすることから容易に区別できます。
アオバハゴロモの蝋物質を利用するちゃっかり者
アオバハゴロモの幼虫を観察していると、同じように蝋物質を背中に付けているのですが、モコモコと明らかに他の幼虫よりも早く動く生き物を見つけました。
よく見てみると、2つの立派なアゴ。なんとクサカゲロウの幼虫でした。クサカゲロウの幼虫は、いろいろなゴミを背中にくっつけて歩く習性がありますが、ネバネバしたアオバハゴロモの蝋物質は、背中にくっつけやすいのかもしれません。