アジサイの色が土の酸度で変わるということは、どこかで聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。その原理については、なんとなく、ムラサキキャベツと同様にアントシアニンが酸性では赤色、アルカリ性では青色になるためだと思っている人もいるかもしれません。しかし、実はアジサイの色の変化は、アントシアニンの酸・アルカリ反応ではありません。今回は、梅雨を彩るアジサイの色についてのお話です。
アジサイの花の色は、何で決まるの?
アジサイの花の色は、アントシアニンとアルミニウムイオンが結合(錯体形成)し、そこに助色素が反応した場合には青色になり、アルミニウムイオンがない場合には赤色になります。実際に、アジサイの赤い花には、アルミニウムイオンがほとんど含まれておらず、一方青い花にはアルミニウムイオンが含まれていることが明らかになっています。
どうして土壌の酸度とアジサイの色が関係するの?
アジサイの色は土壌が酸性の時には青くなり、アルカリ性の時には赤くなります。アントシアニンは酸性では赤色、アルカリ性では青色になるので、逆の反応です。
アジサイの色は、アルミニウムイオンの有無によって変わることを先にお話しました。アルミニウムは、普遍的に土壌に含まれている元素ですが、植物が吸収できるのはアルミニウムがイオンの状態、つまりAl3+になった時です。アルミニウムは、pH5.5以下でイオン化し始め、pH4.5以下では、ほとんどのアルミニウムがイオン化します。このため、酸性土壌ではアジサイはAl3+を根から吸収し、萼片(花びらに見える部分)に蓄積するため、アジサイの花の色が青色になります。
ちなみに、アルミニウムイオンは一般的には植物にとって毒性のある物質であり、根の伸長を抑制するため、酸性土壌で農作物を生産する際に大きな問題となります。
赤いアジサイにアルミニウムイオンを混ぜると青くなるのか実験
赤いアジサイの花をすりつぶし、そこにアルミ化合物であるミョウバンを振りかけてみました。その結果、一瞬で青色に変わりました。
土壌の酸度(アルミニウムイオンの有無)によって花の色が変わらない花の例として、カタバミでも同様の実験をしてみました。カタバミの花もアジサイの赤い花とよく似た色をしており、アントシアニンが含まれていると考えられます。ミョウバンをかけてみると、色は変わりませんでした。
これらのことから、アジサイで特有に見られるアルミニウムイオンの有無による色の変化をこの実験で再現できたのではないかと考えられます。
また、ミョウバン液に花をつけておいただけでも、以下のように赤から青への色の変化が見られました。