コニシキソウは、日本でどこにでも見られる普通種ですが、送粉も種子散布もアリに頼るちょっと変わった植物です。今回はそんなコニシキソウについてのお話です。
コニシキソウとは?
トウダイグサ科トウダイグサ属の1年草です。原産地は、北米で日本全国に帰化し、日当たりの良いところで見られます。地面に這うように茎を伸ばし、10~20cmほどの長さになります。よく踏みつけられる土地やコンクリートの隙間など、他の植物が生息するのが困難な強度に撹乱を受ける環境でも生息できるため、街中でも普通に見られる種です。
送粉をアリに頼るコニシキソウ
コニシキソウの花粉は、主にアリが運びます。コニシキソウの花は、6~9月に咲き、一株に雄花と雌花をつけます。花はとても地味です。華美な花びらは、広範囲を飛び回って目視によって花を探すハチやチョウなどの昆虫に見つけてもらうには、とても効果的です。しかし、餌を探す際に視覚にあまり頼っていないと考えられるアリを呼ぶのには役立たないため、コニシキソウの花には目立つ花びらが無いと考えられます。一方で、アリの報酬となる花蜜は分泌しています。
コニシキソウは、受粉しなくても種子を作ることができますが、アリによって花粉を運んでもらうことで、多様な遺伝子をもった種子を作ることができます。
種子散布もアリに頼るコニシキソウ
コニシキソウは、夏から秋にかけて3ヶ月に渡って種子を作り続けますが、夏は実が熟すとパチンと弾け、親の株よりも少し離れたところに種が落ちるようになっています。この散布方法を自動種子散布と言います。親の株から少し離れたところに種子を飛ばすことによって、親株が成長して子供の株と競争するのを防いでいると考えられます。親が成長をあまりしなくなる秋になると自動種子散布を行わなくなり、変わってアリが種子散布をするようになります。
アリがどのようにコニシキソウの種子を運ぶのかについては、次回お話したいと思います。
参考文献
小林 義浩(2009). コニシキソウにおけるアリによる種子散布の意義とアリにとっての種子の価値, 鹿児島大学学位論文