秋も深まり、野外に出ても昆虫があまり見られなくなってきました。夏にたくさんいた虫たちは、一体どこでどうしているのでしょう。
気温が低くなると動けなくなる昆虫
冬になると、多くの生物の活動が鈍くなります。落葉樹は、葉を落として枝と幹だけになり、光合成が行えなくなるため成長がストップします。哺乳動物の一部も、巣穴の中に潜って冬眠します。哺乳動物が、あまり活動しなくなる主な理由は、冬期は体温保持のためにエネルギーが多く必要であるにも関わらず、餌となる果実やほかの生物などが見つけにくくなり、餌資源が枯渇するためだと考えられます。一方、昆虫は哺乳動物や鳥類などの恒温動物と異なり、体温を保持する機能がないため、気温が下がるとセッケイカワゲラのような特殊な昆虫以外は、体の機能が正常に働かなくなり動けなくなります。そのため、ほとんどの昆虫は冬に活動を停止します。
冬でも天敵に食べられる昆虫
冬になると多くの昆虫が活動を停止しますが、昆虫の天敵となる鳥類は冬眠しません。寒さで動きが鈍くなった昆虫は、見つかりやすいところに居たら、鳥たちの格好の餌食になると考えられます。そのため、冬の長い間、天敵に見つからずに子孫を残すため、昆虫たちは簡単には見つからない場所に身を潜めます。このことも、私達が冬期に野外で昆虫を見つけにくくなる原因であると考えられます。
昆虫の越冬形態
哺乳動物は、生まれてから死ぬまで概ね同じような形態をしていますが、昆虫は卵から始まり、幼虫、蛹(完全変態の場合)、成虫と成長の段階に合わせて様々な形態をとります。そのため、越冬時に成虫であるとは限らす、種によって越冬に適した形態で冬を越します。つまり冬期には、成虫が存在しない種も少なくないのです。次回は、昆虫たちの様々な越冬場所と越冬形態について、具体的にお話しします。