夏になるとにぎやかに鳴き、存在感たっぷりセミですが、冬の間はどこで何をしているのでしょう。
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アブラゼミの生活史
卵は、木の幹に産み付けられ、卵の状態で越冬します。梅雨頃に孵化し、1度脱皮をして土中に潜り込みます。約6年間、土中で植物の根の汁を吸って成長し、4回の脱皮を経て終齢幼虫なります。7月頃に土から出て羽化をして、成虫になります。成虫は10月頃まで見られます。
つまり、アブラゼミは冬期には卵の状態で木の幹の中にいるものと、幼虫の状態で土中にいるものがいます。
冬に見つけたセミの幼虫
アブラゼミは、バラ科の樹木によくつくといわれます。夏期にたくさんのアブラゼミがついていたスモモの木の下にある畑を耕すと、スモモの根っこにセミの幼虫がくっついているのを見つけました。
スモモの根っこが枝分かれした20cm四方、深さ10〜20cmくらいの範囲に、終齢幼虫2匹と若齢幼虫3匹の計5匹が見つかりました(注:終齢幼虫はおそらくアブラゼミであると思われますが、若齢幼虫については、クマゼミの可能性もあります)。
根の他の部位では、それほどの密度では見つからなかったので、根っこの枝分かれした箇所はセミの幼虫の好む場所なのかもしれません。
幼虫は、口吻を根っこにしっかり差し込んでいました。冬期でも、活動を停止するのではなく、土中で樹木の根っこを吸い続けている可能性が高いことがわかりました。
セミの成虫の脚に掴まれてそれほど痛いと感じたことはありませんが、終齢幼虫の足の力はとても強く、掴まれると我慢していられないほどの痛みを感じました。
真冬に野外で見られない昆虫は、気温が低すぎると動けなくなる昆虫が多いですが、セミの幼虫は、真冬に掘り起こされてもまた自分で土中に潜っていきました。このことから、少なくとも本州の真冬の昼間の気温くらいであれば、多少は動くことができるようです。