朝起きると、飼っているサワガニが交尾をしていました。サワガニは、どうやって交尾をするのかご存知でしょうか。魚みたいに産卵された卵に精子をかけるのではなく、ちゃんと交尾します。今回は、サワガニの交尾の観察をしました。
サワガニとは?
サワガニ Geothelphusa dehaani はエビ目サワガニ科の淡水に棲むカニで、日本固有種です。寿命は、数年から10年ほどあります。川の上流部に棲み、きれいな水質を好みます。海に出ることなく、一生を川の上流部で過ごします。産卵時に海に移動せずに、一生淡水で過ごすカニは、国内では、九州以北のほとんどの地域でサワガニのみです。
水生昆虫、ミミズ、落ち葉、藻類など何でも食べる雑食性です。他の多くのカニの仲間と異なり、卵から生まれた子供がすでにカニの形をしており、プランクトンのように水中を浮遊する時期がありません。そのため、幼生の時期に広範囲を移動することがなく、地域的な遺伝的分化がよくみられる種です。
サワガニの交尾のタイミング
10月18日の朝6時すぎ、水槽を覗くと、オスとメスのカニが向かい合ってくっついていました。
サワガニの繁殖時期は、6月〜10月と言われています。近くには、メスの脱皮殻が落ちていました。物陰で脱皮をしたので脱皮した正確な日はわかりませんが、おそらく、ここ2,3日のことと思われます。
カニの仲間には、メスの脱皮直後の甲殻が柔らかい時期に交尾をするタイプと、メスの甲殻が硬い時期に交尾をするタイプがあります。サワガニ科がどちらのタイプであるのかについて文献情報を見つけることができませんでしたが、今回脱皮直後と思われるタイミングに交尾行動が見られたことと、他のサワガニの飼育観察でも、同様に脱皮後に交尾を行うことが報告されているので、サワガニは、メスの脱皮直後に交尾をするタイプのカニであるかと思われます。
サワガニの交尾の様子
何も刺激がなければ、動画の最初のようにほとんど動きませんが、動画の後半では、撮影しているのが気になったのか、メスがオスを引きずるようにして物陰に移動しました。この撮影時は、オスが下でメスが上でしたが、別のタイミングでは、反対になっていることもあったので、それほどこだわりはないようです。
オス、メスともにふんどしと言われる腹節をめくったところに生殖器があります。
交尾をする際には、オスメスともにこの腹節を開き、オスの一対の交接器をメスの一対の生殖孔に挿入することによって行われます。交尾は、終始水中で行われました。少なくとも朝の6時過ぎには始まっていた交尾は、10時くらいまで続きました。
おまけ
ちなみにうちで飼っているサワガニは、茹でる前のパスタが大好きです。一本ずつ渡すと、上手にハサミで掴んで仲良く並んで食べます。