ゆきむしふわりふわりかな

2022年11月30日 ALL生物

北海道で雪が降る直前に大量発生して話題になるユキムシですが、一体何者なのでしょうか?

ユキムシとは?

ユキムシ

ユキムシ sp.

ユキムシはアブラムシ上科 Aphidoidea のなかで、白いロウ物質を分泌するものの総称です。ユキムシは、植物の汁液を吸汁することによって得た炭素をロウに作り変えます。植物を吸汁するカイガラムシや、ハゴロモの仲間にも同様にロウ物質を身にまとうものがいます。

カイガラムシ sp.

カイガラムシ sp.

アオバハゴロモ

アオバハゴロモの幼体

北海道でよく見られるユキムシ

トドノネオオワタムシ

トドノネオオワタムシ Photo by 栃内新, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

北海道でよく見られるユキムシは、トドノネオオワタムシ Prociphilus oriens です。本種は北海道に加え、東北地方にも分布しています。

トドノネオオワタムシは、ヤチダモやアオダモなどの一次宿主の樹木で、卵で越冬します。春、卵から孵った若虫は一次宿主の樹木上で成長し、成虫になると単為生殖します。単為生殖で生まれる個体は有翅成虫です。この有翅成虫は二次宿主であるトドマツに飛んで移動し、夏の間に数世代の単為生殖を繰り替えし、増殖します。夏の間に生まれる成虫は無翅成虫です。秋頃になると有翅成虫が産まれ、二次宿主のトドマツから一次宿主のヤチダモやアオダモに飛んで移動します。この秋頃に一斉に飛翔する様子が、雪が舞っているように見えるようです。移動先の一次宿主の樹木で単為生殖により、メスの個体とオスの個体を産みます。このメス個体とオス個体は、(理想的には)他の個体から産まれたメス個体やオス個体と有性生殖し、メス個体は一次宿主に卵を産みます。

その他のユキムシ

ユキムシと呼ばれる体にロウ物質を付けるアブラムシの仲間には、他にもリンゴハマキワタムシ Prociphilus crataegicola (本州・九州に分布)やエノキワタアブラムシ Shivaphis celti (本州・四国・九州・沖縄に分布)など多くの種が知られています。ところが、トドノネオオワタムシ以外のユキムシの生態については、ほとんどの種について調べられていません。

ハチやハエのように一直線に飛ぶのではなく、ユキムシのフワフワと雪が舞うような飛び方は、一見すると目的地があるようには思えませんが、トドノネオオワタムシのように寄主木を変えることが飛翔の目的であれば、きっちりとした目的地があるはずです。なお、ユキムシの仲間がロウ物質を体にまとって飛ぶ理由についても、よくわかっていません。もしかすると、ふわふわのロウ物質にはタンポポの綿毛のように風をとらえて、遠くに移動分散する役割があるのかもしれません。