ヒーーー、ギョエー、ピーピーピー!!

2023年1月19日 ALL生物

木々がすっきり葉を落とし、生き物たちがあまり活動しなくなる真冬。よく通るけたたましい声で鳴きながら木から木へ飛び移る鳥を見かけたら、それはヒヨドリかもしれません。

ヒヨドリとは?

ヒヨドリ

ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis は、スズメ目ヒヨドリ科ヒヨドリ属の鳥で、ほっぺにある赤い丸い模様が特徴の南方系の鳥です。中国南部、朝鮮半島南部など国外にも生息しますが、日本ほども生息数は多くありません。日本では、留鳥もしくは、漂鳥(国内で越冬地と繁殖地が異なり、季節に応じて移動する鳥)であり、北海道や東北地方などの寒い地域のものは春や秋に渡りを行います。秋ごろに集団で国内の暖かい地域に移動するため、1000羽を超える群れが観察されることもあります。50年ほど前には、東京の個体も冬季は南方に移動していましたが、近年では東京でも一年中みられるようになりました。一方、本州の暖地の個体は、夏は標高の高い場所で過ごし、冬に平地に降りてくる生態を持っていましたが、40年ほど前から一年中平地にいるものが増えてきたといわれています。

都市部の公園や、里地・里山など、樹木がある環境であればよく見られる鳥です。基本的に樹上で活動し、果実や花の蜜を好んで食べます。

トウネズミモチに群がるヒヨドリ

ヒヨドリ

トウネズミモチの実を食べるヒヨドリ

1月、奈良の郊外の緑地公園で、10羽以上のヒヨドリが、トウネズミモチの実を食べに集まっていました。遊歩道沿いの植栽だったため、ヒトがその木の下を通る度に近くの木に飛んで逃げ、また戻ってくるという行動を忙しく繰り返していました。大きな声で頻繁に鳴くため、10羽も集まるとなかなか騒々しかったです。

隣には、サンシュユの真っ赤な実もたくさん実っていましたが、トウネズミモチの実の方がずっと好みのようでした。ちなみに、どちらの実もかじってみましたが、トウネズミモチの実は中が緑っぽく味も青臭く、甘みも感じませんでした。

 

サンシュユ

サンシュユの実

一方、サンシュユの実は、熟れる前のものはとても渋いですが、熟れると渋みが抜け、酸味と甘みに加えてフルーティーな香りもして、ヒトである私にとってはサンシュユの実の方が食べやすかったです。サンシュユの実は、熟れていても熟れていなくても真っ赤です。この時期に無作為に選んで食べると、未熟な渋い実に当たることも多いと考えられますが、見た目で熟れたものだけを選ぶのは難しいかもしれません。ヒヨドリは、サンシュユの実も食べることが知られていることから、この実のほとんどが熟れる季節を待っている可能性があります。