そのオンブバッタ、本当にオンブバッタ?
2023年11月12日
生物
大きなメスが小さなオスを背中に乗せて活動する姿がよく見られるオンブバッタ。バッタの中では比較的知名度の高い種です。九州以北であれば、以前はおんぶしているバッタは、だいたいオンブバッタと考えてまず間違いなかったのですが、近年、アカハネオンブバッタという別種が広がりつつあります。
アカハネオンブバッタとは?
アカハネオンブバッタ Atractomorpha sinensis subsp. sinensisは、国外では、中国、韓国、台湾、ハワイに生息します。国内では以前は南西諸島にのみ生息していましたが、2012年頃から大阪を中心に近畿地方で見られるようになり、2020年には四国でも発見されました。南西諸島では周年成虫が見られますが、近畿地方では秋ごろに成虫が見られます。(夏にも成虫が見られる可能性も指摘されています)
ちなみにオンブバッタ Atractomorpha lataも中国、朝鮮半島、台湾と日本全国に生息します。近畿地方でのオンブバッタの出現時期も、アカハネオンブバッタとほぼ同じです。
アカハネオンブバッタとオンブバッタの見分け方
アカハネと名前がついている通り、アカハネオンブバッタは後翅が赤色であるのに対し、オンブバッタは赤い色がついていません。そのため、捕まえて翅を広げることができれば、見分けるのは容易です。
アカハネオンブバッタは、どんなところにいるの?
10月に大阪の淀川河川敷で数匹のオンブバッタ属を確認した所、すべての個体がアカハネオンブバッタでした。11月に奈良の家庭菜園のサツマイモにくっついていたオンブバッタ属を確認したところ、オンブバッタとアカハネオンブバッタが混在していました。近畿地方では、アカハネオンブバッタはもはや珍しいものではなくなってきているようです。