モモイロペリカンの追い込み漁
2023年11月26日
生物
ペリカンは、大きな喉袋を持つ特徴的な鳥です。その喉袋を使って行う採餌はなかなか迫力があります。今回はモモイロペリカンの餌の食べ方についてのお話です。
モモイロペリカンとは?
モモイロペリカン Pelecanus onocrotalusは、ペリカン目ペリカン科ペリカン属の鳥です。一科一属で、ペリカン属には8種のペリカンが含まれ、すべての種が長いくちばしと喉袋をもちます。ペリカン目の鳥類には、トキ科やサギ科、ハシビロコウ科などが含まれます。
モモイロペリカンは、アフリカ、ヨーロッパ南東部、中央アジアに分布します。体長は約1.5m、翅を広げるとその幅は約3mほどあります。体重は10kgを超える大型の鳥です。主に湖沼や湿地に生息し、数万羽の群れを作ることもあります。
モモイロペリカンの採餌方法
モモイロペリカンは5-10羽ほどでU字型に並んで浅瀬に向かい、魚が集まると輪になって逃げ道を塞ぎ、一気に口を開いて魚を捉えるという、追い込み漁のような方法で魚を食べます。大きな喉袋は非常によく伸びて10リットルほどの水が入り、水中でタモ網のような使い方をして魚を捉えます。喉袋に入った水は、くちばしの隙間から排出されますが、魚だけが喉袋にのこります。一日に1〜1.5kgほどの魚を食べます。喉袋はもっぱら魚の捕獲用に使われ、リスなどのように餌を溜め込んで運搬することはありません。
飼育下のペリカンでも見られる追い込み漁
みんなで輪になって一斉に口を開ける習性は、逃げ回る魚を捕獲する必要のない飼育下のペリカンでも見られます。
3羽のペリカンが同時に水中に顔を突っ込み、向かい合って口を開ける様子が観察されました。