ゴツいトリバガ!?
2月の終わりごろ、変な形の蛾を見つけました。トリバガを大きくしたようなフォルムですが、やけにずんぐりむっくりしています。その正体は、オカモトトゲエダシャクというエダシャクの仲間でした。
オカモトトゲエダシャクとは?
オカモトトゲエダシャク Apochima juglansiaria は、チョウ目シャクガ科エダシャク亜科の蛾です。北海道から九州に分布します。幼虫は、クルミ科やバラ科、ニレ科、リョウブ科、アケビ科、ブナ科、ツバキ科、ツツジ科など、様々な植物の葉を食べる広食性です。蛹は土の中で過ごします。年一化で、成虫は地域によりますが、2月末から5月頃までの早春に見られます。
特異な形をした成虫
幼虫は鳥の糞に擬態したような見た目ですが、なんといっても特徴的なのは成虫です。まるで帆を降りたたむように、4枚の翅をそれぞれ折りたたんだ状態で止まります。前翅は体に対して直角に伸ばした状態で畳み、後翅は腹にくっつけた状態で畳みます。つまり、前翅と後翅が直行するような角度でそれぞれ畳まれるため、真上から見ると丁字に見えます。羽化を失敗したのかというような見た目ですが、飛ぶときにはちゃんと翅を広げます。
成虫はまだ寒い時期に出てくるためか、体には毛が沢山生えてモフモフしています。雌雄ともに成虫は同じような見た目ですが、オスの触覚は櫛状になっているため雌雄の見分けは容易です。
ちなみに一般的なエダシャクの仲間は、翅を広げて止まります。
オカモトトゲエダシャクが翅を畳んで止まる意義については、よくわかっていません。
どんな環境でみられるの?
幼虫はかなり広食性であり、よく街路樹に使われるケヤキやサクラなどの葉も食べるため、公園から森林まで樹木のある環境であれば少なくとも餌資源には困らないと考えられます。今回発見したものも、市街地の門灯で見つけました。なお、オスは灯火に集まる習性がありますが、メスはあまり灯火に訪れません。