ゾウムシはどうやってドングリに穴を開ける?

2024年12月25日 生物

前回に引き続き今回もどんぐりの穴のお話です。今回は、ゾウムシ類の成虫がどんぐりに穴を開ける方法についてです。

どうやって穴を開けるの?

ハイイロチョッキリ(Photo by クロマメ5号)

ハイイロチョッキリ(Photo by クロマメ5号)

ハイイロチョッキリもシギゾウムシも、どんぐりの殻に穴を開けるために長い口吻を使います。どんぐりの殻のような硬いものにゾウムシ科やオトシブミ科(ゾウムシ類)の口吻のような細長いものを突き立てるとすぐに折れてしまいそうですが、口吻の先端には一対の大顎がついており、細かく挟んでちぎるような動きを繰り返して穴を掘り進めます。つまり、ゾウムシ類の口吻は工具でいうとキリというよりはニッパーに近いです。口吻で穴を掘り終わると、腹部先端から産卵管を出して穴に差し込み産卵します。もともとゾウムシ類の口吻は、植物器官の内部を食べるために長くなったと考えられており、ゾウムシのすべての種が卵を生むための穴を掘るために口吻を使うわけではありません。口吻は長ければ長いほど深く掘り進めることができ、口吻で産卵場所を掘る種では長い口吻を持つ種ほど、それに応じて長い産卵管をもつことが知られています。

ゾウムシの種によって異なる穴の開け方

シギゾウムシの仲間(Photo by KEITEN)

シギゾウムシの仲間(Photo by KEITEN)

シギゾウムシの仲間は9月から10月頃に産卵し、ハイイロチョッキリは8月から9月頃のまだどんぐりが緑色の時期に産卵します。

シギゾウムシでは、どんぐり本体に穴を開けて産卵する場合もあれば、殻斗(どんぐりの帽子)に穴を開けて卵を産み付け、孵化した幼虫がどんぐりの殻に穴を開けて入っていく場合もあることが報告されています。

一方ハイイロチョッキリでは、殻斗を貫通させて殻に穴を開けて産卵し、殻斗の毛をむしって殻の穴を埋めます。この行動は寄生バチから卵を守ることに役立つと考えられます。

【参考文献】
高柳芳恵. どんぐりの穴のひみつ. 偕成社, 2006