ホウレンソウの花

2025年3月31日 生物

突然暖かくなりました。公園では桜が咲き、畑ではアブラナ科の小松菜や水菜がとう立ちしてきれいな菜の花を咲かせています。ほうれん草もとう立ちしています。はい、問題、ほうれん草はどんな花?

ホウレンソウとは?

ホウレンソウ

ホウレンソウ

ホウレンソウ Spinacia oleracea は、ナデシコ目ヒユ科ホウレンソウ属の植物です。ヒユ科の植物は世界に70属800種ほどが知られ熱帯域でよくみられます。身近なヒユ科の植物には、ケイトウやイノコヅチなどがあります。ホウレンソウ属に属する種はホウレンソウ以外に数種知られており、西アジアから北アフリカに分布しています。ホウレンソウの原産地は、西アジアのカスピ海周辺と推定されており、最初の栽培はペルシアで始まったのではないかと考えられています。しかし、現在、自生のホウレンソウは見つかっていません。日本には、16世紀頃に中国から渡来したと考えられています。2019年現在、世界で最も多く栽培されている地域は中国で全収穫量の91.4%を占めます。次いで、アメリカ(1.4%)、トルコ(0.8%)、日本(0.8%)です。

ホウレンソウの名前の由来は、現在のネパールである頗稜(ホリン)国から中国の唐に伝わり、その後ホリンという音が転訛してホウレンといわれるようになりました。そのため法蓮草という漢字は、ホウレンという音に対する当て字と考えられています。

ホウレンソウは雌雄異株の風媒花

ホウレンソウ、実は、雌株と雄株が別々である雌雄異株です。

ホウレンソウ

ホウレンソウの雌花 Photo byRasbak, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

ホウレンソウの雄花

ホウレンソウの雄花

雌雄異株の植物は、全被子植物の中でも5%程度と考えられています。その上、雌雄異株の種は、繁殖の機会が何度も訪れる木本を中心とした多年生植物で多いため、草本のしかも単年生の雌雄異株の植物はかなり珍しいタイプといえます。

ミズナの花とホウレンソウの花

虫媒花であるミズナの花(左)と風媒花であるホウレンソウの花(右)

また、花粉の散布は虫ではなく風に頼る風媒花であるため、目立つ花を咲かせることはありません。