持ち込まれたカササギ
2025年4月19日
生物

前回はカササギの生態と、なぜ日本で名前だけは良く知られているのかについてお話しました。今回は、日本や海外におけるカササギの移入についてのお話です。
この記事の目次
日本に自然分布しない可能性が高いカササギ
カササギ Pica pica は日本では、北海道や新潟、長野、佐賀、長崎、熊本などで繁殖が記録され、秋田、山形、神奈川、福井、鳥取、鹿児島などで目撃されていますが、九州以外の地域ではあまり見られない鳥であり、繁殖することも稀です。一方、九州の佐賀を中心とした地域では高密度に生息しています。
福岡県や佐賀県でカササギの生息地が国の天然記念物に指定されているものの、九州の個体群に関しては約400年前に朝鮮半島から持ち込まれたものが広がったと考えられています。カササギの長距離移動能力は低く、明確に自然分布であるとされているカササギの個体群は日本にはありません。
済州島のカササギ
韓国の済州島の農耕地や市街地の公園では、カラスよりも圧倒的によくカササギがみられます。公園や広場などでよく目に付く黒い鳥はほとんどカササギでした。しかし、済州島もまたカササギは自然分布しておらず、1989年に人為的に放鳥された約50羽のカササギが増えたものと考えられています。現在済州島にはカササギは10万羽ほど生息していると考えられており、生態系や農作物に深刻な影響を与えています。日本ではカササギはなぜか急速に広まることはありませんでしたが、侵入した地域によっては外来種として大きな問題を引き起こしています。