オウムがいっぱい飛んでいた

日本ではよくペットとして売られていたり、動物園で展示されているキバタンやモモイロインコですが、オーストラリアでは、野生のものがごく普通に見られます。今回は、オウムの野生での様子についてのお話です。
キバタン

キバタン Cacatua galerita は、オウム目オウム科の全長50cmほどもある大型のオウムです。オーストラリアとパプアニューギニア周辺部に生息します。オーストラリアでは、北部から東部の海岸から内陸に500kmほど入った地域まで分布します。熱帯林や亜熱帯林だけでなく、穀倉地帯でもよくみられます。数十羽の群れをつくります。野生下では主に種子類や果実を食べますが、市街地ではゴミ箱を漁ったり、農作物を食い荒らしたりして問題になることがあります。
海に近い地域でよく見られたキバタン

キバタンは、年間を通して温暖である熱帯モンスーン気候であるケアンズやポートダグラスの市街地の海沿いの街路樹周辺で朝や夕方によく見られました。近くでは自動車が行き交い、多くの人が散歩していましたが、特にそれらを恐れることもなく、ちょうどドバトやカラスのような振る舞いでした。また、海岸から数十キロほどの距離にある広大なサトウキビ畑が広がる農耕地帯でも、20〜30羽ほどの群れが飛んでいるのを見ました。大きなオウムが群れになり、また声も大きいので非常に存在感がありました。
モモイロインコ

モモイロインコ Eolophus roseicapilla は、オーストラリアのほぼ全域に生息するオウム目オウム科の鳥です。ヨーロッパ人によって森林が農地に開拓されたことによって餌資源が潤沢に得られるようになり、分布域が広がったと考えられています。主に穀類や種子類を食べます。農作物も食べるため、問題になることがあります。数十羽の群れになりますが、群れの中でもつがいで行動します。1年中繁殖期で、樹洞に巣を作ります。つがいは、どちらかが死ぬまで継続されます。
内陸でよくみられたモモイロインコ
モモイロインコは、ケアンズの海岸沿いではみかけませんでしたが、熱帯モンスーン気候からサバナ気候への移行帯となる200キロほど内陸に入った地域でよくみられました。この地域では樹木は比較的疎に生育し、樹高は5mほどです。乾季には下草が茶色に枯れ込みます。

私が見た限りでは、自然豊かな環境では見かけませんでしたが、街中の街路樹で群れになっているのが見られました。キバタンと比べ、乾燥地帯で多くみられる印象でした。集団で地面で採餌している様子が観察されました。

ヒヨドリのようにねぐらに集まるモモイロインコ
夕方になると大きな声で集団で樹木や電柱に止まっている様子が観察されました。大群で鳴きながら集まるため、非常にやかましく、日本でのムクドリのような雰囲気です。