2025年8月22日

クサギの花はいい匂い

クサギの葉っぱのにおいはかなり強烈です。ところが花はいいにおいがします。

クサギとは

クサギの花
クサギの花

クサギ Clerodendrum trichotomum は、シソ科クサギ属に分類される落葉樹です。国外では中国や朝鮮半島、台湾、フィリピン、インドなど分布し、日本では北海道から沖縄までの全国に自生します。日当たりのよい原野や林縁、河川敷、道路沿い、都市部の緑地や空き地など、生育場所を選ばず人の生活圏でも目にすることの多い植物です。樹高は通常2~5メートルほどです。葉は傷つけたり揉んだりすると独特の強い臭気を発します。それがクサギ(臭木)の和名の由来です。

クサギの生態

クサギの木
クサギ

クサギは撹乱を受けた土地や裸地、造成地などに一早く侵入し群落を作る、典型的なパイオニア種です。路傍や空き地でも群生している姿がよく見られます。

クサギの繁殖

クサギ(Photo by ミヤマカラスアゲハ)
クサギに訪花するクロアゲハ:Photo by ミヤマカラスアゲハ

クサギの開花期は7-9月です。花は4本の雄しべと1本の雌しべを持ちます。雄性先熟で、開花初日は雄しべのみが機能し、翌日以降に雌しべが受粉可能となることで自家受粉が防がれます。日中、夜間ともに訪花があり、アゲハチョウ科やスズメガ科、ヤガ科、シャクガ科、ツトガ科などが花に訪れることが報告されています。

クサギの実
クサギの実:Photo by もっち40

赤い萼片に包まれた藍色の小さな果実が10月から11月頃に実り、鳥類によって種子散布されます。

クサギの利用

クサギは古くから薬用・食用・染料などに幅広く利用されてきました。枝葉を乾燥させたものは「臭梧桐(しゅうごとう)」と呼ばれ、漢方では高血圧の予防や神経痛の治療薬として利用されてきました。かなり強烈なにおいを放つクサギの葉ですが、若葉はアク抜きすることで山菜としても食べられるそうです。また、果実には青いアントシアニン色素(トリコトミン)が含まれており、これを使って絹などを美しい青色に染めることができます。