2025年10月28日
		光を求めて移動するアカメガシワ
 
	                    前回は、アカメガシワの種子がその場所が日が当たるようになるまで長期間休眠するお話をしました。アカメガシワは発芽後も効率的に日の光を受ける戦略を持っています。
パイオニア種の代表、アカメガシワ

アカメガシワの特徴に、一般的な多くの樹木に比べて成長が早いことが挙げられます。崩落地や河川敷のように他の植物が少なく日当たりはよいものの、地面が崩れたり流されたりして不安定な環境では、速やかに成長して子孫を残すことが重要です。そのためアカメガシワは、長持ちする丈夫な葉や幹を時間をかけて作るのではなく、耐久性は低いものの、とにかく短期間で高く大きく広がる幹や葉を成長させ、発芽からわずかな期間で種をつくるという戦略をとっています。このように森林の自然更新において遷移の初期の段階にのみ現れる種をパイオニア種といいます。パイオニア種は、やがて木陰でもゆっくり成長することができる他の樹木に覆われると、生存することが困難になります。
地下茎を伸ばして日の当たるところに移動

植物は一般に、種子が散布されて発芽すると、その場所から一生動くことはできません。しかし、林縁などでは、わずか数十センチの違いで日当たりが大きく変わります。少しでも横に移動したいとしても、幹は重力に逆らって根返りしないよう、基本的に真上にまっすぐ伸ばさざるを得ません。枝も横に伸ばしすぎると折れてしまうため、横方向への成長も制限されます。
一方で、地上部と異なり、根は横に伸ばすことができます。アカメガシワは地下茎を持っており、土の中で横方向に伸びながら、光の当たる場所に新しいシュートを出すことができます。これによって、たとえ親株が日陰になったり伐採されたりしても、地下茎の別の場所から出たシュートが日光を受けて成長し、生き続けることができるのです。


