ひょろいのにクモを狩るクモ、オナガグモ
 
	                    森林の林床で、青いイモムシが誰かに運ばれていると思ったら。
オナガグモとは?

オナガグモ Ariamnes cylindrogaster は、ヒメグモ科オナガグモ属のクモです。国外では、中国、韓国、フィリピンに分布し、国内では、本州以南の森林に生息する普通種です。オナガグモ属のクモは、日本では本種のみです。体長はメスでは3cm、オスでは2.5cmほどです。体色は緑色のものと褐色のものがいます。
オナガグモの観察
林縁の落ち葉の上を歩いているオナガグモを見つけました。長い脚をせわしなく動かして逃げようとしますが、長い腹を引きずるような感じになって、どこかまごまごした感じです。くねくねと腹が曲がり、遠目には肉食性の昆虫が青いイモムシを引きずって歩いているようでした。多くのクモは、手に乗せるとしばらく手の上でじっとするか、手の上を歩き回るかしますが、オナガグモはせかせかと歩いて、そのまますぐに下に落ちてしまいます。あまり、どこかに強く掴まる気はないようです。また、糸を使って上からぶら下がったり、いつのまにか遠くの植物の葉に引っかけた糸を伝って、空中をロープーウェイのように移動しはじめました。体が非常に細いこともあり、すぐに見失ってしまいます。歩くのはぎこちないですが、糸を操って移動するのはとても上手という印象でした。

しばらく観察していると、植物の葉の先で足を前にまとめて伸ばし、一本の細い棒のようになって止まりました。この体勢が松の葉の擬態になっているのではないかと考えられることがありますが、その効果は明らかになっていません。
他のクモを食べるオナガグモ

オナガグモは、主にクモを襲って食べることが知られています。クモの仲間は、他のクモの糸を伝って移動することがあります。オナガグモはその習性を利用して、数本の粘着性のない糸をめぐらせ、その糸を伝って移動する他のクモを捕食することが観察されています。
ひょろひょろとした体型や、地面を移動する際のまごまごした感じの動きからは想定できない、捕食者であるクモをハンティングするクモなのです。擬態は、このような獲物に対して自分の存在を知られないようにする効果もあるかもしれません。



