チャバネ茶カメムシ?
ニホンノウサギやテンのように、毛が生え変わることで夏と冬の体色が大きく変わる哺乳動物は、よく知られていますが、昆虫の中にも夏と冬で見た目が大きく変わる生き物がいます。
チャバネアオカメムシとは?

チャバネアオカメムシ Plautia stali は、カメムシ目カメムシ科のカメムシです。国内では北海道から沖縄に分布しますが、特に関東以西でよくみられます。成虫は4月から11月頃に出現します。幼虫、成虫ともに様々な種類の植物の果実の汁を吸います。基本的には6月から7月ごろに産卵し、新成虫が7月から8月に発生する年1化ですが、一部の地域では年2化のこともあるようです。ナシやスモモやリンゴなど、様々な種類の果樹園で発生して問題になることがあります。
夏と冬のチャバネアオカメムシ
夏のチャバネアオカメムシは、名前の通り体色が緑色で前翅が茶色のカメムシです。

ところが冬になると、鮮やかな黄緑だった部分が、緑に茶色を混ぜたようなくすんだ色になります。

どうして茶色っぽくなるの?

チャバネアオカメムシは、夏の期間はスギやヒノキの球果を好んで吸汁します。他にも果樹の実や、クワやサクラの実の汁を吸うことが知られています。夏期には多くの場合、緑色の葉に囲まれた果実を吸汁するため、体色が緑であることは身を隠すのに有効であると考えられます。
一方で、冬期には枯れ葉の中や樹皮の割れ目などで越冬します。このような環境では、体色は茶色であるほうが目立ちません。特に、低温で体が動きにくくなる冬期には、落ち葉をめくって昆虫を探す鳥などに対して、逃げるよりも隠れる戦略がより重要であると考えられます。そのため、冬期に茶色に変化することは生存に大きく寄与すると想定されます。
何が変色の引き金になるの?

アゲハチョウ類やシジミチョウ類など、昆虫の中には季節によって体サイズが異なるもあります。これらの昆虫では、同一個体の体サイズが変化するのではなく、1年の間に複数回行われる世代交代の過程で、季節に応じて異なる形態をもつ個体が出現します。一方、チャバネアオカメムシは、同一個体が変化します。
チャバネアオカメムシの体色が変化する引き金は日の長さだと考えられています。20℃の恒温条件下で飼育されたチャバネアオカメムシについて、明るい時間を15時間から12時間に減らしたところ体色が緑色から褐色になり、逆に12時間から15時間に増やしたところ褐色から緑色に変化したことが報告されています。
[参考文献]
小滝豊美・八木繁実 (1987) チャバネアオカメムシの休眠発育と体色の変化. 日本応用動物昆虫学会誌, 31(4):285–290.



