名にし負はば 逢坂山の
さねかづら。名前は聞いたことがあるけれど、どんな植物なのかは知らない方も多いかもしれません。今回は、冬が見頃のサネカズラについてのお話です。
サネカズラとは?

サネカズラ Kadsura japonica は、アウストロバイレヤ目マツブサ科サネカズラ属の常緑のつる性木本です。アウストロバイレヤ目は聞き慣れない方が多いかもしれませんが、アムボレラ目、スイレン目と合わせて基部被子植物を構成する目で、これらの目は原始的な形質を維持している傾向にあると考えられています。ちなみに、サネカズラと近縁な身近な植物には、マツブサ科シキミ属のシキミ Illicium anisatum があります。
サネカズラ属の植物は17種ほどが知られ、すべて東アジアから東南アジアに分布します。日本には、サネカズラ属の植物は、サネカズラの他にリュウキュウサネカズラ Kadsura matsudae があります。サネカズラは、国外では台湾に分布し、国内では関東以西に生育します。広葉樹林の林縁や林床に自生しますが、庭木や盆栽にも利用されます。

学名のKadsura japonicaは、「日本の葛(カズラ)」という意味で、和名のサネカズラのサネは、実(さね)を指し、果実(が目立つ)つる性植物という意味です。
冬期に目立つサネカズラ

サネカズラは特に特徴的な葉を持つわけでもなく、ヤブの中にあると取り立てて気づくこともない植物ですが、冬期に実る果実は目を引きます。果実は集合果で、直径2-3センチほどです。液果であり、ヒヨドリやメジロなどの鳥類が食べにくるようです。

液果が全部なくなっても中心の花托が残り、この花托も大きく赤いため目立ちます。

花は、7月-8月頃、黄白色の直径1.5センチほどの花を下向きにつけます。
男性の整髪剤に使われていたサネカズラ
サネカズラは、現在のように観賞用に利用されるだけでなく、昔は実用的な用途がありました。サネカズラの茎や葉は水に入れておくと粘液が出ます。奈良時代には、その粘液を男性の整髪剤として使っていたようです。そのため、サネカズラは別名で美男葛(ビナンカズラ)ともいわれます。サネカズラの整髪剤は、江戸時代に木蝋や菜種油を使って作られる鬢付け(びんつけ)油が普及する以前には、よく使われていたようです。



