2026年3月20日

ヒクイドリのモヒカン

前回に引き続き今回もヒクイドリについてです。今回は、ヒクイドリの特徴的な頭の突起と、子育ての方法についてのお話です。

頭部の突起

ヒクイドリ
ヒクイドリ

ヒクイドリの見た目で特徴的なのが、頭についた大きなとさかのような突起です。これはカスク(casque)と呼ばれます。カスクを持つ鳥類は他にも何種か知られていますが、特にサイチョウの仲間はカスクが目立つことで有名です。多くの種のカスクは、上顎骨または頭蓋骨が突出してでできており、表面をケラチン由来の角質が覆っています。

カスクの機能については、複数の仮説が立てられてます。

  1. 性別、成熟度などを他個体に示す機能
  2. 闘争の際の武器
  3. 森林の中で頭部を守るヘルメットの役割
  4. 鳴き声を共振、増幅させる機能
  5. 体温調節機能

ヒクイドリでは、カスクは雌雄ともに目立った差異はなく、ヘルメットサイチョウやオオサイチョウのようにオスが闘争に使うことも観察されていないため、1つ目と2つ目の役割はないと考えられています。また、3つ目も近年はあまり支持されていません。一方、4つ目の鳴き声の増幅については、ヒクイドリが非常に低周波の音を発することが知られており、その際にカスクが役立っているのではないかと言われています。5つ目は、高温時には熱を放散し、低温時には熱損失を抑制することがヒクイドリを対象とした研究でも示唆され、カスクの役割として有力視されています

このようにヒクイドリのカスクの役割については今まで多くの人が様々な仮説を立ててきましたが、現在もまだ結論は出ていないようです。

オスによる子育て

子育てをするオスのヒクイドリ Photo by Arjan Haverkamp, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

オスは地上に草本を集めて、厚さ5〜10cm、幅最大1メートルほどの巣を作ります。メスは5-6月に、3-8個の卵を生みます。メスは、自分のテリトリー内にいる他のオスの巣にも卵を産んで回ります。抱卵はオスのみが行い、50-52日間行います。孵化後、オスは9ヶ月間、オオトカゲなどの天敵から雛を守ります。オスの子育ては鳥類では珍しいですが、近縁のエミューや、ヒクイドリと同様に古顎類に属するレアやダチョウもオスが子育てをします。

オスより大きなメス

ヒクイドリ

オスとメスにはそれぞれ独立に縄張りがあり、一部重なりがあります。テリトリーの大きさは、3平方キロメートルほどであるという研究があります。オス同士が偶然出会った場合は、基本的には逃げますが、メス同士は、オス同士よりも激しく戦う傾向があるようです。ヒクイドリは、一羽のメスが複数のオスの巣に卵を生み、オスがそれぞれの巣で抱卵、子育てをします。つまり、喧嘩に強いメスがより広いテリトリーを維持することができ、その中もしくは近くにいる多くのオスと子孫を残すことができるのです。そのため、より大きく喧嘩に強いメスが生き残ってきたと考えられます。