2026年3月25日

森で出会ったヒクイドリ

前回前々回とヒクイドリについてお話してきました。最後はオーストラリの森林で、実際に野生のヒクイドリに出会ったときの様子についてです。

ヒクイドリの気配

オーストラリアのケアンズ近郊の山林を歩いていると、大量の種子の塊が林道上のあちこちで見つかりました。大きな種子がほとんどそのままの形で何個も含まれていて、なにか非常に大きな生き物の糞だろうという察しはつきました。

ヒクイドリの糞
ヒクイドリの糞塊と思われる種子の塊

大量の糞のわりには、鼻を近づけても果物の腐った臭いがほのかにするのみで、いわゆる糞の臭いはほとんどしませんでした。

森で出会ったヒクイドリ

くねくね曲がる林道を進んで、ふと前をみると、15mほど先に非常に大きな生き物が現れました。高さ170cmはあると思われる立派なヒクイドリでした。相手の大きさの割には、非常に静かな出会いでした。

ヒクイドリ
森に佇むヒクイドリ

向こうもこちらの存在に気づいたのか、何をするでもなくしばらくじっと立ってましたが、そのうち、こちらを気にすることもなく毛づくろいをはじめました。20分ほど経過した後、ゆっくりとこちらに向かって歩いて来たため、私たちはその場を後にしました。ヒクイドリは、林道からゆっくりと獣道に入り、静かに森の中に消えていきました。

その林道は、地元の人が釣りをしに川に向かうのに使う道で、私たちが通る10分ほど前にも釣り竿を持った子連れの家族が通って行きました。そのため、この周辺に生息するヒクイドリは、ヒトにはある程度慣れていると思われます。ヒクイドリは非常に悠々としており、威厳を感じました。

ヒクイドリに出会った環境

ヒクイドリに出会ったのは、オーストラリアのケアンズから内陸に車を1時間ほど走らせた森林内です。林内には舗装されていない細い林道があり、私たちはそこを歩いていました。

ヒクイドリと遭遇した林道
ヒクイドリと遭遇した林道

ヒクイドリは個体数を減らしつつある鳥ですが、どうやらヒトに対して警戒心はそれほど高くない個体もいるらしく、ビーチや湖周辺のヒトがよく来る場所にも頻繁に現れます。ヒクイドリは、体が大きい上に鋭い爪をもった足で蹴ることがあり、彼らがよく現れる場所には、「餌を与えないで・近寄らないで」と注意喚起する看板をいくつも見つけました。

先述の通り、私たちが出会ったのは川におりる林道上でした。ヒクイドリは水辺を好むため、このような近くに水辺がある場所によく現れるものと考えられます。また、人が歩くために作られた林道上にたくさんの糞があったことから、特に傾斜が強かったり下草の多い森林では、ヒクイドリにとっても歩きやすく、転がっている果実を見つけやすい視界が開けた林道をよく使うのかもしれません。