スマートフォンアプリを用いたロードキル調査を帯広畜産大と共同で実施

2020年8月17日

PRTIMES <リンク>

ロードキルの実情と課題

ロードキルとは車両と野生動物の接触により動物が死亡する事故のことで、交通インフラの発達とともに発生件数は増加しています。しかし、大型動物との接触が大きな事故やニュースになる一方、小さな動物や市町村道等の小さな道路でのロードキルの多くは報告・把握されていません。また、ロードキルのデータがあっても活用されていないなどの問題があります。

ロードキルのデータを蓄積することは、環境・暮らしの両方の観点から重要とされています。日本ではイリオモテヤマネコやヤンバルクイナなど希少な生きものが事故に遭うケースが跡をたちません。大型の動物では車両との接触が大きな事故につながったり、死骸が道路に残ってしまうなど、自動車の走行の安全性や道路管理における問題も生じています。

また、イギリスではシカ類の事故数は年間 42000 から 74000 件、ロードキルによる経済損失は年間年間 2400から 5000 万ポンドにのぼるという報告が発表されました。こうした試算は事故防止策の必要性を示す根拠として重要であり、その土台にはロードキル情報のデータベース化が欠かせません。人と野生動物の共存を模索するために、ロードキルの情報を収集・蓄積できる利便性の高いプラットフォームが必要とされています。

 

全国ロードキル調査について

株式会社バイオームは野生生物の保全・交通事故軽減のため、市民も活用できるビッグデータの収集システムを構築することを目的に、いきものコレクションアプリ「Biome」を用いた「全国ロードキル調査」を2020年9月1日~2021年8月31日の期間で実施します。本調査では、レンジャーや研究者をはじめとするロードキルに高い関心を持つ人から参加者を募り、アプリを通じてロードキルの画像、位置情報、状況などを投稿していただくことで情報収集を図ります。

一般の方にも参加していただけます。
⇩参加方法詳細をダウンロード⇩
ロードキル調査2020への参加方法.pdf

発見したロードキルの写真を撮影してアプリに登録するだけで、ロードキルの位置情報と対象種のデータを誰でも簡単に収集することができます。収集されたデータは研究だけでなく、道路管理者が事故防止の策を講じる際にも役立ち、希少動物の保全にも活用されることが期待されます。

また、当調査ではデータの収集だけでなく、ロードキル情報を収集・蓄積できるプラットホーム開発を見据え、正確なデータ収集の可否および利便性についての検証も行います。将来的には、調査の対象地域や参加者の対象を大きく広げ、調査と学びの要素を融合させた市民科学調査プロジェクトにしたいと考えています。

本取り組みは、帯広畜産大学農業共生圏高度専門家育成事業の一環として環境農学研究部門 浅利裕伸特任講師の協力・監修のもと実施します。クエストを通じて得られたロードキルの情報は、浅利氏に提供されます。提供・利用されるのは生物に関する情報のみで、アプリへの登録情報をはじめとする個人情報は利用されません。

 

全国ロードキル調査で連携する研究者

監修・協力:帯広畜産大学 環境農学研究部門 浅利裕伸特任講師