皆さんは、ポッサムとオポッサムという動物の名前でどっちがどっちだか混乱したことはありませんか?そんな経験はない、というかどっちも知らないという人が大半かと思いますが、今回は、えらく混乱する名前をつけられてしまった動物、ポッサムとオポッサムについて紹介します。
ポッサム、オポッサムの名前の由来
Opposum オポッサムは、北米ネイティブアメリカンのアルゴンキン語で「白い動物」を意味し、Possum ポッサムは、オポッサムの「オ」という音が抜けた言葉(語頭音消失)です。
ポッサムとは?
ポッサムは、オーストラリア、ニューギニア島、スラウェシ島に生息する中もしくは大型の樹上性の動物です。有袋類であり、カンガルーやコアラなどが属する双前歯目に属します。
英名でポッサム Possum が名前につく動物は、クスクス亜目に属する6科すべての中に計約30種も存在します。クスクス亜目に属する種は70種ほどであるため、クスクス亜目の中の種の半分弱はPossumが名前に付く動物であるということになります。クスクス科のフクロギツネ Common brushtail possum(ブラシのような尾をもった普通のポッサム)、フクロミツスイ科のフクロミツスイ honey possum (ハチミツポッサム)、ブーラミス科のブーラミス Mountain pygmy possum(山地の小さなポッサム) などが挙げられます。しかし、Possumポッサムとだけ呼ばれる種は存在しません。つまり、ポッサムという言葉は、分類上の区別ではなく、特定の一種を表す言葉でもなく、木の上で暮らすポッサムっぽい容姿をした動物につけられた総称ということになります。
オポッサムとは?
オポッサム目オポッサム科に属する動物、約110種の総称であり、こちらも有袋類の動物です。しかし、生息域はポッサムとは大きく異なり、北アメリカから南アメリカです。前回のブログでもお話した通り、有袋類しかいなかった南アメリカに、北アメリカから有胎盤類が侵入してきた際にほとんどの南アメリカの有袋類は絶滅しましたが、このオポッサムだけが絶滅せずに現在まで生き残りました。オポッサムも総称であるため、 Opossumオポッサムと呼ばれる特定の種はありません。オポッサム科に属す種は、ハイイロジネズミオポッサム Gray short-tailed opossum(灰色の尾が短いオポッサム)や、アカマウスオポッサム Red mouse opossum(赤いネズミオポッサム)といった具合に、名前にopossumが付きます。
ポッサムとオポッサムが混同される
もともとアメリカ大陸にいるオポッサムに似た種がオーストラリアにもいるということで、それらの動物がポッサムと言われるようになったと考えられていますが、オーストラリアでは、オポッサムと言ってもポッサムのことを指したり、反対にアメリカでポッサムのことをオポッサムということもあるようです。似た名前をつけられた、似た容姿の生き物ですから、混同されても仕方がないといえば仕方がないのかもしれませんが、分類上はどちらも有袋類だということ以上には近縁でもありません。ややこしすぎて結局何がなんだかとのことでしたら、ポッサムもオポッサムも木登りが得意なネズミからタヌキくらいの大きさの有袋類とだけ覚えておけば間違いありません。