![](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/01/Aye-aye_Daubentonia_madagascariensis_4.jpeg)
前回は、サルっぽくないアイアイの形態を中心にお話しましたが、今回は、アイアイの生態を中心にお話しします。
アイアイの生活場所
アイアイは、熱帯雨林や乾燥林、マングローブ林、二次林など様々な環境の森林に生息します。夜行性であり、一晩に樹上を800m〜数km移動すると報告されています。昼間は巣の中で休みます。
巣は、直径1cmから2cmほどの枝を切り取って集め、直径50cmほどのボール状にしたものです。巣の中には木の葉が敷き詰められます。巣の高さは乾燥林では10m以下にもありますが、川辺林では地上から25m以上の高さのところに作られます。
アイアイの主食は?
![Ksukol ocasatý (Daubentonia madagascariensis)](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/01/Aye-aye_Daubentonia_madagascariensis.jpeg)
アイアイ Tom Junek, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
アイアイは、夜行性であり、かつ樹上の高い位置で生活するため観察が非常に難しく、野生下で何をどれくらい食べているかを明らかにするのが非常に難しいようです。しかし、幼虫や種子の胚乳の部分、花の蜜、ハチミツなど、高カロリーで消化の良いものを好んで食べるという傾向はあるようです。
伸び続ける門歯(前歯)
前歯が伸び続けるのは、リスやネズミが属する齧歯目の特徴で、霊長類の中ではこのアイアイだけです。歯並びも齧歯目に似た並び方をしており、そのためにアイアイは過去にはリスの仲間に分類されていました。アイアイには、硬い幹の中にある空洞を歯でこじ開けて幼虫を探したり、硬い殻に包まれた種子をかじって食べる習性があります。
![Gnawed_limb,_Daubentonia_madagascariensis](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/01/Gnawed_limb_Daubentonia_madagascariensis-1024x665.jpeg)
アイアイの囓り跡 Photo by Dr. Mirko Junge, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
このような習性を持つために、霊長類の中では例外的に、リスやネズミのように伸び続ける門歯を発達させたと考えられます。
中指は幹の中の幼虫を食べるため?
![Canarium_resinieferum](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/01/Canarium_resinieferum-1024x768.jpeg)
カンラン属の一種の実 Photo by Nandini Velho, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
アイアイの主食は幼虫であり、中指は幹の中の昆虫の幼虫を取るのに役に立っていると考える研究者がいる一方、ラミーと呼ばれるカンラン科の果実が主食ではないかと考えている研究者もいます。ラミーの実も殻が硬いため、アイアイは歯で殻に穴を開け、中指を使って中身をすくい取ります。特殊な中指が何を食べるために発達したのか、研究者の中でも意見が分かれているようです。