笹の葉の裏の猫

2024年8月18日 生物

前回に引き続き、今回もかわいい幼虫。今回は猫耳。

サトキマダラヒカゲとヤマキマダラヒカゲ

サトキマダラヒカゲ

サトキマダラヒカゲ

サトキマダラヒカゲ Neope goschkevitschii とヤマキマダラヒカゲ Neope niphonica は以前は区別されずにキマダラヒカゲとされていましたが、1970年に両種は区別されるようになりました。

どちらもタテハチョウ科キマダラヒカゲ属のチョウです。サトキマダラヒカゲは北海道から九州に分布する日本固有種で、基本的には低地から低山地の森林に生息しますが、1500mを超える山地で見つかることもあります。ヤマキマダラヒカゲは国外では樺太南部に分布し、国内ではサトキマダラヒカゲと同様に北海道から九州に分布します。関東以南では標高500m以上の低山地から亜高山帯の森林に生息します。

キマダラヒカゲの仲間の生態

キマダラヒカゲの仲間は都市部で見ることはありませんが、森林に入るとよく出会います。名前にヒカゲとつく通り成虫は日陰を好み、薄暗い林内で活動することが多いです。花に来ることはあまりなく、樹液や腐りかけの果実に集まります。また、動物の糞や昆虫の死骸も餌資源として利用します。樹液を利用するため、クヌギの木でカブトムシやクワガタムシを探しているとよく見かけます。

ササの葉の裏に並ぶ幼虫

キマダラヒカゲ

サトキマダラヒカゲもしくはキマダラヒカゲの幼虫

キマダラヒカゲの仲間の幼虫には猫耳がついており、なんとも可愛らしいです。しかも、集団で暮らす習性があり、食草であるイネ科植物(主にタケササ類)の葉に複数匹が顔を並べている姿はとても愛らしいです。

キマダラヒカゲ

チシマザサの葉の裏で集団で休むキマダラヒカゲの仲間

彼らが食べた後の笹には、葉脈だけが残る食痕ができることがあります。

キマダラヒカゲ

キマダラヒカゲの仲間の食痕

キマダラヒカゲ

硬い葉脈を避けて柔らかいところだけを食べていくと、自ずとこういった食べ方になるのでしょう。