2025年12月25日

クリスマスローズがまだ咲かん

クリスマスローズは、クリスマスと名がついた植物ですが、実はクリスマスに花をつけることはあまりありません。では、どうしてクリスマスという名がついているのでしょう。

クリスマスローズとは?

ヘラボルス・ニゲル
Helleborus niger Photo by Robert Hundsdorfer, CC BY-SA 2.0 DE, via Wikimedia Commons

クリスマスローズ (Christmas rose) は、クリスマスの頃に咲くバラに似た花ということで、もともとヘラボレス・ニゲル Helleborus niger という学名の種につけられた英名です。ヘラボレス・ニゲルは、キンポウゲ科ヘラボレス属の常緑多年草で、バラ科ではありません。原産地は、ヨーロッパ中央部のアルプス山脈周辺です。標高1900mほどまでの山地に生育します。全草有毒で、皮膚や粘膜に炎症を起こしたり、心臓の収縮に影響したりします。

日本でクリスマスローズといわれる植物

クリスマスローズ

日本では、ヘラボレス・ニゲル に加え、同じヘラボレス属のヘラボレス・オリエンタリス Helleborus orientalis(別名レンテンローズ)もクリスマスローズと呼ばれます。ちなみに、レンテン (Lenten season) とは、3月下旬から4月下旬頃のキリストの復活祭の40日前、つまり2月頃を指し、その頃に花を咲かすことが名前の由来です。

クリスマスローズのクリスマスに関する伝承

クリスマスローズ

クリスマスローズには、次のような伝承があります。
貧しい羊飼いの少女マデロンは、キリストの誕生を祝うための贈り物を用意することができず、悲しみのあまり涙をこぼしました。すると、その涙が落ちた場所から美しい白い花が咲き広がりました。それがクリスマスローズです。マデロンはその花を摘み、聖母マリアと幼子イエスに捧げたと伝えられています。

クリスマスローズはクリスマスにはあまり咲かない

クリスマスローズ

クリスマスローズの花はクリスマスにあまり見られません。主な理由は2つです。

まず、日本でよくクリスマスローズとして流通しているヘラボレス・オリエンタリス(レンテンローズ)の花期は、上述の通り2月から3月頃であり、クリスマスの時期にはまだ咲きません。原産地での開花時期も同様に、晩冬から初春です。

次に、もともと英名でクリスマスローズとつけられたヘラボレス・ニゲルも、花期は、ヘラボレス・オリエンタリスよりは早いですが、1月から2月頃です。原産地でも12月だと花盛りではありません。

では、クリスマスローズという名前の由来は何でしょう?

ヘラボレス・ニゲルにクリスマスローズという名がつけられたのは16世紀以前と考えられており、1582年までキリスト教圏では、現在のグレゴリオ暦ではなくユリウス暦が使われていました。ユリウス暦では、グレゴリオ暦の12月25日が1月7日に相当します。つまり、ユリウス暦ではヘラボレス・ニゲル(クリスマスローズ)はクリスマス頃に見頃になるのです。