![](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/Editorial_cartoon_depicting_Charles_Darwin_as_an_ape_1871.jpg)
進化論といえば、ダーウィン。
彼は、 5年に渡るビーグル号での航海中に立ち寄ったガラパゴス諸島に生息する生物が、島ごとに固有の形態をもっていること、訪れた様々な場所で採取した化石が、地層年代に沿って連続的に変化しているように見えたことなどから、種は進化によって変化してきたことを確信しました。ダーウィンが進化論を唱えるまで、種は神の創造物であり、人間は、その姿を神に似せて作られた特別なものと信じられてきました。ダーウィンのもっとも有名な著書『種の起源』でダーウィンは、自然選択によって種から変種ができることを提唱し、この本では明言はしていないものの、ヒトも進化によって他の動物と同じ祖先種から進化してきたことを示唆しました。しかし、ダーウィンは進化を証明することは、出来ませんでした。というのは、進化は、何万年をかけて起こる変化であり、ヒトの一生の間にその変化を捉えることは不可能だと考えられていたからです。しかし、ダーウィンの死後100年以上のちに、進化は、思いの外早く起こっていることがわかり、それらの観察事例が報告されるようになりました。最も有名な研究のひとつは、ガラパゴス島でのフィンチの研究です。
ダーウィンフィンチとは、ガラパゴス島で適応放散したフィンチ類の総称で、特にクチバシが食べ物によって著しく異なっているのが特徴です。 これらのフィンチの適応放散はダーウィンが主張した自然選択がはたらいて、種は変化するという進化論を強く支持するものであることから、ダーウィンの名が付けられました。ちなみに、ダーウィン自身が進化の着想を得るきっかけとなった生物は、ゾウガメやマネシツグミです。その後、グラント夫妻によってガラパゴス島でフィンチの研究がなされ、ある集団の遺伝的変化は、激しい環境の変化によって急激に(数年で)起こるということが定量的に観察されました。
![フィンチの嘴の多型](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/512px-Darwins_finches_by_Gould.jpg)
フィンチの嘴の多様性
表題の絵は、ヒトも動物である主張したダーウィンを揶揄した有名な風刺画です。日本は、世界的にも進化論を比較的容易に受け入れている人が多い国です。しかし、神が自分の姿に似せて人を作ったというキリスト教の教えと、ヒトも他の動物から進化したとする進化説は相反するため、キリスト教徒の多いアメリカでは、未だに約60%もの人々がダーウィンの自然選択に基づく進化論を受け入れていないという驚くべき調査結果があります。しかし、ガラパゴス島でのグラント夫妻によってなされたフィンチの研究について書かれた本である『フィンチの嘴』の中でも取り上げられているように、病気に抗生物質が効かなくなる現象や、農薬の効果が下がる現象も、抗生物質や農薬に耐性を獲得した細菌や害虫の個体が増殖した結果です。つまり抗生物質や農薬によって病原菌や害虫に強い選択圧がかかり、進化が起きたのです。進化というと遠い過去に起こった出来事だと考えている人も多いかもしれませんが、実は、進化は常に環境に合わせて目まぐるしく起こっています。生物の誕生は約38億年前だと言われています。最初は古細菌と呼ばれる原核生物が誕生しました。それ以来、生物は環境に合わせて変化し続け、すなわち進化を続け、今、目の前の姿かたちになったのです、そして進化は今尚続いており、時を経て、今とは違う生き物になっていくのです。そう考えますと、なんとも感慨深いものがあります。そんなロマンチックな気分になれるのも、この地球上で進化を発見した人間のみの特権です。
![ウツボカズラ](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/PA260180-600x450.jpg)
植物でありながら虫を食べるウツボカズラ(マレーシア、ボルネオ島)
![キノコの一種](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/P2250009-600x450.jpg)
雪だるまのようなキノコの一種(マレーシア、ボルネオ島)
![カニグモの一種](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/DSCN0304-600x450.jpg)
派手で固い甲羅のような身体をもつカニグモの一種(マレーシア、ボルネオ島)