ドリアンは、他の果実植物同様、あるいはそれ以上に、動物を病みつきにさせ、彼らに種を運んでもらう植物です。ドリアンを食べたことがある人なら、あんな臭くてトゲのある果物を、どんな動物が好き好んで食べるのだろうと、不思議に思うかもしれませんが、意外とドリアンは、いろんな動物に人気の果実です。今回は、ドリアンについてのお話です。
この記事の目次
ドリアンとは?
ドリアンはアオイ科ドリアン属の常緑高木種で、20〜30mの高木になります。実は大きいもので30cmくらいになり、重さも1-2kgあります。また、硬いトゲで覆われています。恐ろしいことに、この実は数十メートルの高さの木から落下してきます。
原産は、マレー半島、スマトラ付近です。
マレーシアでは、白っぽい実で甘みが強いものや、黄色っぽくて匂いが強いものなど、様々に改良されたドリアンが何種類も売られています。
ドリアンを食べる動物1 〜ヒト〜
ドリアンといえば、臭いというイメージを持っている人が多いことと思います。私は、ドリアンを食べる経験が増えるに従って、ドリアンは、臭いというよりフルーティーな良い匂いだと感じるようになりました。ドリアンの美味しさは、1,2回しか食べたことがない人には、わかりません。はじめは、それほど美味しいと思わないのに、食べる回数が増えるほど、どんどん病みつきになっていく、不思議な果物です。
ドリアンを食べる動物2 〜マレーグマ (サンベアー)〜
熱帯地域に生息する世界一小型のクマです。果実や蜂蜜が主な食べ物です。
日本の森林ではツキノワグマが、クリの実を素手で開けて実を食べていることに驚かされるのですが、マレーグマがドリアンを素手で開けられることはもっと驚きです。クリームのような濃厚で甘い唯一無二のドリアンの果実を食べるために、やっきになって頑張る気持ちは、ものすごく理解できますが。
ドリアンを食べる動物3 〜ゾウ〜
ゾウもドリアンが好きだそうです。
実を足で潰して、中の実を取り出して食べるそうです。
私自身は、ボルネオゾウのいる森で調査したことがないので、食べた後に遭遇したことはありません。
ドリアンを食べる動物4 〜オランウータン〜
やっぱり霊長類の仲間のオランウータンもこの果実は、美味しいと感じるようです。
ですが、種子散布するというよりは、バリバリと種まで噛んで食べてしまうことも多いようです。
ドリアンを食べる動物5 〜リス〜
小型の哺乳類にもドリアンは好まれているようです。ドリアンの木の上で複数のリスがドリアンの実を食べているところに遭遇したことがあります。ですが、彼らは、ドリアンの種子を運ぶには体が小さすぎるため、ドリアンにしてみれば、招かれざる客かもしれません。
ドリアンを食べる動物6 〜サイチョウ〜
鳥類の仲間もドリアンを求めてやってきます。
小型の鳥には、ドリアンの大きな実を運ぶのは困難だと考えられますが、サイチョウは、非常に大きな鳥で、大きなくちばしでドリアンの実をくわえ、飛び去るようです。
哺乳動物によって散布されるドリアンは、樹上で、硬いトゲの殻を開かず、果肉の色はそれほど目立たない黄色〜乳白色です。サイチョウに種子散布を委ねるドリアンは、樹上で硬いトゲの殻を開きます。サイチョウには、トゲのある硬い殻を開く力はないためです。また、殻の中から現れる果肉は、よく目立つ赤色です。