秋に鳴くバッタのちょっと詳しいお話

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秋に鳴くバッタのちょっと詳しいお話

2019-10-25T19:37:03+09:00 2019年10月19日|Categories: ALL 生物|Tags: , , , |
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ずいぶん気温も下がり、夜になると肌寒く感じるようになってきました。スズムシやコオロギの賑やかな演奏がよく聞こえる時期です。今回は、そんな秋の虫たちについて、ちょっと詳しいお話をしたいと思います。

バッタとは?

クルマバッタ

クルマバッタ

バッタはどんな生き物かと聞かれて多くの人が想像するのが、後ろ足が大きくてジャンプする昆虫だと思います。ケラのように、あまり後肢が発達しておらず、ジャンプもあまりしない例外もいることにはいますが、バッタ目(直翅目)の昆虫は、ほぼすべての種がこの大きく発達した後脚を持っています。バッタ目の昆虫は、熱帯から寒帯まで世界中に広く分布しており、世界で1万5千種、日本で150種以上が知られています。バッタ目は大きく分けて、バッタ亜目とキリギリス亜目の2つに分かれます。

 

バッタ亜目の特徴

ショウリョウバッタ

ショウリョウバッタ

  • 昼行性が多い。
  • 触覚が短い。
  • 大きな音で鳴く虫が少ない。
  • 餌資源として植物を多く利用する
    • 動物性タンパク質を全く取らないという訳ではなく、あれば利用はする。
  • 含まれる科の例:バッタ科(トノサマバッタ、ショウリョウバッタ、クルマバッタなど)、イナゴ科(ツチイナゴ、フキバッタ類など)、オンブバッタ科(オンブバッタなど)など。

 

キリギリス亜目の特徴

ホシササキリ

ホシササキリ

  • 夜行性が多い。
    • つまり、夜に鳴いているのは、ほぼキリギリス亜目の種と考えられるが、キリギリス亜目の種でも、昼間の気温が低くなると、昼間にも鳴く。気温が変わると鳴き声の周波数(音の高さ)が変わってしまい、メスにうまくアピールできなくなるため、これらの虫にとって、鳴くときの気温が重要なファクター。
  • 触覚が長い。
    • 夜行性であるため、周囲の状況を認知するのに、視覚よりも触覚を使うことが多いためと考えられる。
      大きな音で鳴く虫が多い。
  • 餌資源として、植物だけではなく、他の昆虫なども利用する雑食の種が多い。
    • 例えば、キリギリスは、幼虫が成長するために動物性タンパク質が不可欠とされ、他の昆虫をハンティングする。
  • メスでは大きな産卵管が目立つものが多い。
  • 含まれる科(種)の例:コオロギ科(エンマコオロギ、スズムシ、マツムシ、カンタンなど)、ケラ科(ケラ)、コロギス科(コロギスなど)、キリギリス科(キリギリス、クツワムシ、クサキリなど)など。

 

実は音を出す方法が異なるバッタ亜目とキリギリス亜目

バッタの仲間が鳴く姿というと、キリギリス亜目に属するスズムシやコオロギの様に、右と左の前翅をこすり合わせて鳴く方法を思い浮かべる人がほとんどだと思います。キリギリス亜目の種は、ほとんどすべての種がこの方法で鳴きます。ですが、バッタ亜目に属する種は、それとは異なった方法で鳴きます。バッタ亜目の種は、基本的に前翅と後脚もしくは、前翅と後翅をこすり合わせることによって、音を出します。

翅と後脚をすり合わせて鳴くヒナバッタ

どうして多くのバッタの仲間が秋に鳴くの?

バッタの仲間が鳴くのも、セミやカエルと同様メスにアピールするためです。夏にも鳴いているキリギリスやヒナバッタは、年2化ですが、多くのバッタの仲間は、年1化です。年1化のバッタの多くが、夏の間にたくさん食べて体をめいっぱい大きくし、冬が始まる直前に産卵します。そして餌資源がなくなる冬には、成虫は死に、卵で越冬するという生活史をもっています。このため、いろんな種のバッタがみんな揃って秋頃に交尾相手を求めて鳴き始めることになるのです。また、バッタの仲間の中には、気温によってオスの鳴き声の周波数が変化すると、メスがオスの声に反応しなくなる種がいることがわかっています。そのため、バッタの仲間のオスの繁殖成功度は、非常にストイックに気温に左右されるため、メスの産卵の準備が十分に整った秋になってからしか鳴かない種が多いと考えられます。