パンダは、哺乳動物の中で、1,2を争うといっても過言ではないほど世界的に人気のある動物です。今回は、どうして、パンダは人を魅了するのかについて、パンダの生態から説明を試みます。パンダの詳しい生態については、次回にお話したいと思います。
ジャイアントパンダとは?
食肉目クマ科ジャイアントパンダ属の動物です。ジャイアントパンダ属の動物は、約200万年前に現在の中国で誕生した植物食傾向の強い動物です。ジャイアントパンダ属は、ジャイアントパンダ以外に4種存在していましたが、現存しているのはジャイアントパンダのみです。
パンダはもともと別の動物に付けられた名前
ジャイアントパンダが1869年にフランス人に発見される以前、パンダという名前は、1821年に西洋に紹介されたレッサーパンダに付けられた名前でした。ジャイアントパンダがレッサーパンダに近縁であると誤って認識されたため、ジャイアントパンダという名前が付けられ、小さいパンダの方は、レッサー(lesser)パンダと呼ばれるようになりました。ジャイアントパンダの人気が世界的にも圧倒的に高くなり、その後、パンダと言えばジャイアントパンダを指すようになりました。ちなみに、レッサーパンダは、レッサーパンダ科レッサーパンダ属の動物であり、レッサーパンダ科は、アライグマ科、イタチ科、スカンク科と共にイタチ上科に分類されています。
パンダはどうして可愛くみえるのか。
パンダを可愛く見せているのは、なんと言ってもあの、白と黒のカラーだと思われるかもしれません。どうしてそのような配色なのかについては、森や雪の中では、実は、目立ちにくく天敵に襲われないため(現在パンダの天敵といえる生物は人間ぐらいですが)という説や、同種どうしで見つけやすく、繁殖期に配偶相手を見つけるのに役立つなど様々な説があり、定説はありません。
配色についての謎は解けませんが、パンダが多くの人を魅了するのは、あの配色だけが理由ではないと考えられます。というのは、もし、パンダが、ヒグマやトラのように檻の中でソワソワと動き回っていたら、そこまで可愛いとは思われなかったと思います。でんっと座り込んでのっそりのっそり笹を食べ、決してすばしっこい動作を見せないところがパンダをかわいいと思わせる一つの要因だと考えられます。このゆっくりした動きは、消化の悪い竹を食べているためだと考えられています。ナマケモノがゆっくり動くのと同様に、パンダも代謝を下げ、エネルギー消費を抑えるため、基本的には、ゆっくり動くと考えられています。これといった天敵がおらず、食べ物も追いかけて捕らえる必要がないため、野生下でも素早く動く必要があまりありません。また、木に登るのが得意で、体の柔軟性も高いため、重力に抵抗しないポーズをいろいろ取ることができ、余計にダラけているように見えるのも可愛く見える要因だと思われます。
また、他のクマと比べると、パンダは、随分丸顔で、モコモコしています。この丸顔やモコモコしていることもやはり、竹を食べることが関係しています。消化が悪く、硬い竹を、長い時間をかけて噛んで食べるので、顎周辺の筋肉が発達し、顔が丸く見えるのです。また、できるだけ代謝を落としてエネルギーのロスを防ぐために、毛皮を分厚くして、体温の維持を行っていると考えられており、この分厚い毛皮のおかげでよりモコモコした体型となってます。
このように、消化の悪い竹を食べるために発達させた特徴が、図らずもパンダを可愛く見せていると考えられます。