ナミテントウやナナホシテントウを驚かせて、脚の付け根から分泌されるオレンジ色の液体を指につけられた経験のある人は多いかもしれません。カメノコテントウも同様に、においのする液体を分泌します。ただ、出す場所が異なり、まるで血の涙を流しているような見た目になります。今回はそんなカメノコテントウについてのお話です。
カメノコテントウとは?
カメノコテントウAiolocaria hexaspilotaは、甲虫目テントウムシ科に属するテントウムシの仲間です。大きさは、8-12 mmほどあり、5-9 mmほどのナミテントウやナナホシテントウと比べるとかなり大型なテントウムシです。
どこで見られるの?
日本では、北海道から九州に分布します。
成虫、幼虫ともにクルミハムシやドロノキハムシ、ヤナギハムシの幼虫を食べます。餌となるクルミハムシは、オニグルミやサワグルミに、ドロノキハムシやヤナギハムシがヤナギの仲間につくため、カメノコテントウもそれらの植物がよく生えている川辺で見つかることが多いです。春から秋にかけて活動し、冬は成虫の状態で樹皮や岩の隙間に集まって越します。
血の涙を流すように見えるカメノコテントウ
ナミテントウやナナホシテントウを驚かせると、主に体の腹側の縁からオレンジの臭い液体を出しますが、カメノコテントウを驚かせると、胸部にある目のような斑紋(実際の目は頭部にあります)から真っ赤な液体を出します。
そのため、カメノコテントウが、血の涙を流しているように見えます。この液体は、ナミテントウやナナホシテントウと同様、独特なにおいがします。カメノコテントウも、捕食者から身を守るために、このような液体を出していると考えられます。
少なくとも人間である私たちにとっては、カメノコテントウの目が急に真っ赤になったように見えるので、かなりインパクトがあります。しかしカメノコテントウの天敵になると考えられる鳥類に対して視覚的な効果があるのかは不明です。視覚的効果があるとすると、何故ナナホシテントウやナミテントウは腹面から捕食防御物質を分泌するのでしょう。極めて興味深い違いです。