ハナバチを利用して成長するツチハンミョウ

2020年11月30日 ALL生物

ボテッとした体型にツヤツヤとした体表、見かけることは少ないですが、見つけると、何だこれ?と思う昆虫、ツチハンミョウ。見た目だけでなく、生態も独特です。今回はそんなツチハンミョウのお話です。

ツチハンミョウとは?

ツチハンミョウは、コウチュウ目ツチハンミョウ科に属する昆虫の総称です。ツチハンミョウ科の昆虫は、世界では7500種、日本では10種以上が知られています。日本に生息するツチハンミョウ科の昆虫は、ツチハンミョウ亜科とゲンセイ亜科に分けられます。ハンミョウという名前がついていますが、ハンミョウはハンミョウ科の昆虫であり、それほど近い仲間ではありません。

ハンミョウ

ハンミョウ (Photo by Alpsdake, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons):ツチハンミョウと系統的に近いわけではない。

天敵に襲われると関節からカンタリジンという毒を出して身を守ります。カンタリジンは、鳥類や一部の昆虫などにはあまり効きませんが、ヒトにはよく作用し、触れると皮膚に火傷をしたときにできるような水疱ができ、食べると死ぬこともあると言われています。

何を食べるの?

クマバチ

ツチハンミョウ科のヒラズゲンセイはクマバチの巣に寄生します。

ツチハンミョウ科の種の中には、ハナバチの巣に寄生するものがいることが知られています。マルクビツチハンミョウでは、地中に数千個の卵を産み付け、幼虫は自ら花まで移動して花に身を潜め、訪花した昆虫に取り付いて運ばれます。たまたまハナバチのメスに取り付けたものだけが、ハナバチの巣に侵入し、そこで卵や花蜜を食べて成長できると考えられています。メス1匹が生む卵の数が数千個と非常に多いのは、このような生態ゆえに、幼虫の生存率が非常に低いためだと考えられます。

さらに不思議な生態をもつ海外のツチハンミョウ

海外にはさらに変わった生態を持つツチハンミョウ Meloe franciscanus がいます。

まず、幼虫が寄主となるハチの体サイズと同じのくらいの大きさの集団を作ってメスのフェロモンを発し、オスのハチをおびき寄せます。次に、メスと勘違いしておびき寄せられたオスのハチに飛び乗ります。そして、そのオスが交尾中にメスのハチに移動し、巣まで運んでもらいます。

【参考文献】
「偽フェロモンに集団演技 ツチハンミョウの寄生技」 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/091800405/