漢字で書くと「浄海坊」、なかなか変わった名前のこの昆虫、一見したところカミキリムシのようですが、カミキリムシよりもホタルに近い昆虫です。今日はこれからの季節によく見かけるジョウカイボンのご紹介。
ジョウカイボンとは
甲虫目ホタル上科ジョウカイボン科に属す昆虫の総称、あるいはその代表種のジョウカイボン Lycocerus suturellus を指します。見た目はカミキリムシに似ていますが、前翅は柔らかいです。幼虫、成虫ともに肉食性で昆虫を捕食しますが、肉に加えて花粉も食べる種もあります。
ジョウカイボン科に似ているカミキリモドキ科
見た目がよく似た分類群にカミキリモドキ科があります。こちらもカミキリムシのような見た目で、前翅が柔らかいです。カミキリモドキ科は触ると水ぶくれになってしまう毒であるカンタリジンを持つ種が多いので注意が必要です。
ちなみにカンタリジンは、ジョウカイボン科の学名 Cantharidae に因みます。ですが、ジョウカイボン科は水ぶくれを引き起こすほども毒を有していません。そもそもカンタリジンはツチハンミョウ科 Meloidae のスパニッシュフライ Lytta vesicatoria から単離されたのですが、スパニッシュフライがジョウカイボン科 Cantharidae に属するとしばしば勘違いされていたために、このようなことになってしまったようです。
代表種ジョウカイボン Lycocerus suturellus
最もよく見られる種はジョウカイボン Lycocerus suturellus です。日本に広く分布し、都市部であっても、空き地や、川沿いの草むらや街路樹でしばしば見られます。
花の上に居ることもあれば、樹皮に居ることもあれば、草の上に止まっていることもあります。いろいろな種の昆虫を捕食するものと考えられます。
昆虫を捕食するためか、顎は発達しています。挟まれるとちょっとだけ痛いです。