日本最小のカマキリ、ヒナカマキリ

2021年8月20日 ALL生物

カマキリといえば、バッタやセミなどを捕食する比較的大型の昆虫を想像する方が多いかもしれませんが、日本最小のカマキリは、2センチにも満たない大きさしかありません。今回は、そんな小さなカマキリについてのお話です。

ヒナカマキリとは?

ヒナカマキリ

ヒナカマキリ

カマキリ目カマキリ科Amantis属のカマキリです。Amantis 属のカマキリは、アジアと太平洋の島々でのみ見られ、世界で20種ほどが知られています。ヒナカマキリは、名前の通り小さなカマキリで、体長は12-18mmほどしかありません。日本には、名前がよく似たヒメカマキリという別種のカマキリもいますが、体長は25-32mmあるのでヒナカマキリが日本で見られるカマキリの中では最小です。日本では、本州から沖縄まで見られます。世界では、台湾、韓国に分布します。

どこで見られるの?

ヒナカマキリ

日本では、東北地方以南を分布域とします。常緑広葉樹林内に生息し、南の地域ほど生息密度が高い傾向があるようです。森林に生息するカマキリで、オオカマキリやコカマキリが見られるような草原や公園などでは見つかりません。植物の上よりも地上を徘徊することが多く、落ち葉の間でよく見つかります。緑色の草の上ではほとんど生活しないためか、体色は茶色や黒の個体しか見られません。

ヒナカマキリの形態的特徴

体サイズが1.5センチほどしかないことも大きな特徴ですが、オスメスともに翅がとても短いという特徴もあります。体が小さく、翅も短いため幼虫と間違われることも多いようです。ちなみに、台湾には、翅の長いオスが存在します。

ヒナカマキリの狩りの特徴

ヒナカマキリは、他のカマキリと狩りの方法が少し異なります。一般的なカマキリは、獲物がカマキリに気づかずに近寄ってくるのを待ち伏せして獲物を捕らえますが、ヒナカマキリは走り回って獲物を捕ることが多いです。また、ショウジョウバエのようなかなり俊敏に動くものも捕らえることができます。基本的には夜行性であるため、夜になると林床で獲物を探している姿が見られるようです。