前回に引き続き、今回も同種の野菜を集めてみました。
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原種がブラッシカ・ラパ Brassica rapaの野菜
チンゲンサイ、カブ、ミズナ、コマツナ、ハクサイ、ノザワナは、アブラナ科アブラナ属のBrassica rapaブラッシカ・ラパという野生種の変種です。ブラッシカ・ラパは、現在西アジアから北ヨーロッパの大麦畑でみられる雑草ですが、何度も栽培品種と交雑していると考えられるため、原種がまだ存在するのか、また存在するのであればどれであるのかを識別することは困難なようです。遺伝解析より、原種のブラッシカ・ラパは、およそ4000から6000年前に中央アジアにあったものであろうと推察されています。ブラッシカ・ラパの亜種が、少なくとも紀元前2000年頃には地中海からインドで栽培され始め、紀元前1000年頃には、中国でもブラッシカ・ラパの野菜が記録されています。西暦700年頃に、日本でもブラッシカ・ラパの変種であるカブが伝わりました。
カブ Brassica rapa var. rapa
アフガニスタン原産のアジア系と中近東から地中海沿岸が原産のヨーロッパ系の2変種があります。日本でも古くから食べられ奈良時代に記録があります。西日本では、アジア系のものが主流で、東日本の特に山間地では耐寒性の強いヨーロッパ系が栽培されます。
ハクサイ Brassica rapa var. glabra cv. Pe-tsai
中国原産で、7世紀ごろ生み出され、16〜18世紀ごろに結球性のものが作られたと考えられています。日本には、江戸時代後期に不結球性のものが渡来しましたが、他のアブラナ科の植物と交雑するため、継続した栽培が困難でした。他の品種や変種と交雑を起こしにくいような改良を施したハクサイが作られ、20世紀ごろから日本でも栽培できるようになりました。
ミズナ Brassica rapa var. laciniifolia
日本が原産地で、1686年に京都南西部で「水菜」として栽培されていた記録が残っています。
コマツナ Brassica rapa var. perviridis
江戸時代初期に東京で作り出されました。耐寒性が非常に強く、積雪がなければ冬期に育てることができます。
ノザワナ Brassica rapa var. hakabura
長野県でヨーロッパ系のカブからできた変種だと考えられています。現地(野沢温泉村)では、蕪菜(カブナ)と呼ばれていましたが、大正時代にスキーをしに来た人々が、カブナの漬物を野沢菜漬けと呼んだため、全国的にノザワナと呼ばれるようになりました。
チンゲンサイ Brassica rapa var. chinensis
中国原産で、日本には、1970年代頃に入ってきたと言われています。