クズ – 強すぎる

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クズ – 強すぎる

2022-07-16T11:06:45+09:00 2022年7月16日|Categories: ALL 生物|Tags: , , |

日本でも、外来の生物の侵入はしばしば生態系に影響を与え、大きな問題となります。逆に日本の生物が海外に持ち込まれ、大きな問題を起こすこともあります。今回は、アメリカで困り者となっているクズのお話です。

クズとは?

クズ Pueraria montana var. lobata は、マメ科クズ属の蔓性多年草です。クズ属の植物は全てアジア原産であり、15〜20種が知られています。クズは、日本、中国、朝鮮、ロシア、東南アジアに分布します。国内では、北海道から九州に生育します。繁殖力が高く、IUCNの定める世界の侵略的外来種ワースト100に選定されています。日本では、塊根からデンプンをとり、葛粉として利用してきました。また、生薬や家畜の飼料、ツルから繊維をとって布にするなど、多くの用途に使われてきました。

クズのツルは10〜30mまで伸び、一日に30cmほど成長することもあります。長さ1.5m、直径20cmになることもある塊根をもち、冬に葉は枯れても、根やツルは枯れません。また、ツルの結節からは、根を出すことも可能であるため、這って伸びた先で土と接するところがあれば、そこにまた根を下ろすことができます。

どんな環境に生えるの?

荒れ地や河川敷、林縁などの日当たりの良い環境に群生します。人為的な撹乱を受けた場所に特によく繁茂します。

アメリカで広がるクズ

クズ

クズの花

アメリカに初めてクズが持ち込まれたのは、1876年に開催されたフィラデルフィア万国博覧会で日本がクズを展示した時です。クズは、園芸植物としてアメリカ人に好まれ、大規模に販売されるようになりました。1900年代の初頭は、家畜の飼料としてクズが使われるようになりましたが、農家がそれほど好んで栽培することはありませんでした。しかし、第二次世界大戦中に軍事物資の輸送のために、それまで家畜飼料の輸送に使っていた輸送手段が逼迫した事を契機に、地元で栽培できるクズが家畜飼料として頻繁に利用されるようになりました。また、1930年から1940年代ごろ、クズは土壌侵食を防ぐ目的で、アメリカ南東部で大規模に植えられました。しかし、クズは制御できないほどに繁茂したため、1953年には土壌保護目的のクズの植え付けは推奨されなくなり、1997年には有害雑草として規制対象になりました。現在、クズはアメリカ南東部の300万ヘクタールを覆い、現在も分布域を拡大しています。

クズは寒さには弱く、霜が降りると葉は枯れますが、暖かい地域では一年中育ち続きます。また、根の近くが木質化して硬くなり、かつ塊根が深いために除去しにくいことが、クズ繁茂の制御を困難にする要因となっていると考えられます。

アメリカに入ったクズの影響

クズ

クズは、ツル性のため、他の植物に覆いかぶさりながら生育範囲を広げます。覆いかぶされた植物は日が当たらず、多くは枯れてしまい、しばしばその一帯はクズ一種で覆い尽くされたような状態になります。その結果、侵入箇所の生物多様性は低下します。アメリカでは、クズが高さ35mの材木用の樹木に這い登り、木材生産に壊滅的な影響を与えたり、電信柱に這い登って送電線を機能不全にする問題も起きています。

[参考文献]
Mitich LW (2000) Kudzu [ Pueraria lobata ( Willd .) Ohwi ] 1. Weed Technology, 14(1): 231–235.