外来種セイタカアワダチソウの生存戦略

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外来種セイタカアワダチソウの生存戦略

2018-11-24T16:27:37+00:00 2018年11月24日|Categories: ALL 生物|Tags: , , , |

外来種は、その地域にもともと生息していた生物の生息場所を奪うことで、生態系のバランスを乱してしまうことがあります。外来種の侵入は大きな問題となり得るため、注目されることが多いです。厄介な問題をもたらす外来種ですが、彼らが本来の生息場所でない場所で生きのびるのはそれほど簡単なことではありません。

外来種が侵入先で遭う困難

  • 気象条件が違い
    特に年中温かい所に生息している熱帯地域の生物にとって、日本の冬を越すのは非常に難しいことです。
  • 餌資源の有無
    原産国には、豊富にあったかもしれない餌資源も、侵入地にあるとは限りません。
  • 天敵の有無
    天敵がいるために増えることができない種もいます。セイヨウミツバチは、ハチミチを取るために人に利用され、世界中の様々な土地に持ち込まれ定着しましたが、日本のほとんどの地域にはオオスズメバチがいるため、定着できないと言われています。実際に、日本でもオオスズメバチが生息していない離島ではセイヨウミツバチが定着してしまっています。
  • 競合種との競争
    同じ餌資源や環境に生息する種同士は、競争が起こります。新しく侵入した土地で生き延びるには、もともとそこにいた生物と競争しなければなりません。

私たちがよく知っている外来種は、このような難関をクリアして、異国での繁殖に成功した数少ない種であるといえます。つまり、日本には世界中から様々な外来種が常に入ってきていますが、多くの種は、日本で生き延びることができていないと考えられます。

外来種として有名なセイタカアワダチソウ

本来の分布は北アメリカで日本には、1897年ごろに、鑑賞用、もしくは、蜜源植物として導入されました。急速に増加したのは、造成地が増えた1940年代以降と言われています。外来生物法で要注意外来生物とされ、日本生態学会によって、日本の侵略的外来種ワースト100に選ばれています。

セイタカアワダチソウ

11月頃に黄色い花を咲かせ、群生するため、とても目立ちます。線路脇や河川敷、放棄畑など撹乱が多いところでよく見られます。湿地や弱アルカリ性の土地、リンを多く含む土地を好むようですが、乾燥した土地や日があまり当たらない土地でも生育はできるようです。

セイタカアワダチソウが持つ戦略、アレロパシー

セイタカアワダチソウは、他の生物の成長を抑制するような化学物質を放出します。このように、植物が放出する化学物質が、他の生物になんらかの作用を及ぼす現象のことをアレロパシー作用と言います。セイタカアワダチソウが出すアレロパシー物質は、cis-DMEであり、微生物に分解されにくく、土壌中に蓄積します。この蓄積量がある濃度を超えると、ブタクサやイネ、ススキなどの競合種の生育が抑制されることが知られています。

つまり、セイタカアワダチソウは毒を生産することによって、他の植物が生育しにくい環境を作り出し、競合種との戦いに勝ったのです。ですが、困ったことにこのcis-DMEは、セイタカアワダチソウ自身の種子の発芽も抑制してしまうようです。また、cis-DMEで完全に他の植物を抑えることができるわけではなく、セイタカアワダチソウの生育地であっても少しずつ遷移が進んで行きます。遷移が進むと、他の植物に被陰され、明るい環境を好むセイタカアワダチソウの繁殖は阻害されます。つまり、セイタカアワダチソウは常に新天地を探し続けているような植物といえます。しかし、撹乱を受け続け、常に遷移が止められているような土地では、長期に渡ってセイタカアワダチソウが繁茂し続けるようです。

セイタカアワダチソウ

セイタカアワダチソウと天敵

日本には、セイタカアワダチソウの天敵となるような生き物は生息していなかったのですが、原産国の北アメリカに生息している天敵のグンバイやガ、ウドンコ病が日本にも入ってきたことによって、セイタカアワダチソウの日本個体群は一時衰退したようです。ですが、現在、それらの天敵に抵抗力を持ったセイタカアワダチソウの個体群がまた、増えつつあるようです(Sakata et al. 2014)。

参考文献:
Sakata, Y., Yamasaki, M., Isagi, Y., & Ohgushi, T. (2014). An exotic herbivorous insect drives the evolution of resistance in the exotic perennial herb Solidago altissima. Ecology, 95, 2569–2578. http://doi.org/10.1890/13-1455.1