![](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/08/TG_20220517_P5170150-scaled.jpg)
蚊やアブなどのハエの仲間にたかられることは、ヒトにとっても困ることですが、ウシも結構迷惑しているようです。ブンブンと体の周りを飛び回り、吸血する昆虫を、ウシはどうやって撃退するのでしょう。
どうして、ウシは、カやハエに刺されたくないのか。
![ハエがとまるウシの足](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/08/TG_20220517_P5170222-1024x576.jpg)
ハエがとまるウシの足
ヒトと比べて大きな体を持っているウシといえども、ハエやカに刺されると痒いらしいです。また、ハエやカにたかられると睡眠や休息が妨害されたり、落ち着かなくなり摂食量や飲水量が減ることも知られています。さらに、大量のハエやカに一度に血を吸われると、貧血になることもあります。その上、カやハエは、牛白血病ウイルスや牛流行熱といったウイルス性の病気を媒介するため、病気を予防するためにもそれらの虫に刺されないことはウシにとっても重要です。
手で蚊を払えない動物の悩み
ヒトの場合は、背中の一部以外はほとんどすべての場所に手が届くため、体のどこにカがとまっても払ったり叩いたりすることができます。一方、手を持たない動物にとって、虫を払うのに口が手の代わりになり得る器官といえますが、口が届く範囲はかなり限られていますし、虫を払うたびにいちいち顔を動かさないといけないとなると多くのエネルギーが必要となります。
しっぽを使って撃退
陸上動物のしっぽは、水中での推進力を得る目的に使われている魚の尾が進化したものです。生物が水中の生活から陸上に上がった時に、尾はそれまでの用途で使われなくなりましたが、退化することなく多くの生物で現在も残されています。
その使い方は、動物によって様々です。ネコやネズミの仲間やなどは、長い尾を、走る時や樹上を移動する時にバランスを取るために使います。
![ピューマ](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/08/b543f00432111c956b4c71319c071aae-1024x768.jpg)
ピューマ。ネコ科の動物の長い尻尾は、移動時にバランスを取るのに使われます。
また、仲間とコミュニケーションを取るために、尾を使う種もいます。
![ワオキツネザル](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/08/P8151690-1024x768.jpg)
ワオキツネザルの派手な尻尾は仲間とのコミュニケーションに使われると考えられています。
ウシの場合は、尾の先端に長い房状の毛がついています。この尻尾は、ハエなどの虫を払う役目をしていると考えられています。この尻尾のおかげで体勢を変えることなく、お尻の周り、後ろ足の上半分、背中の後ろの方にとまったハエは追い払うことができます。下の動画でも、尻尾は頻繁に左右に振られており、よく使われていることがわかります。
フサフサした毛を持つウマの仲間や、ゾウ、キリン、サイなどの他の動物も、尻尾を同様の目的で使っていると考えられます。
![ウマの尻尾](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/08/24050511983de42afc553f81bcedb4e4-1024x768.jpg)
ウマの尻尾
皮膚を一部分だけ震わせて撃退
ヒトは、持っていない機能ですが、ウシやウマなどは、体の表面の一部分だけをビクビクと動かせます。ハエがとまると、ウシはその部分をピクピク動かし、ハエを追い払うことができます。