4種のハイエナのそれぞれの個性

2020年2月22日 ALL生物
アードウルフ (Greg Hume / CC BY-SA (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0))

ハイエナは、その見た目や死肉を食べるという習性からか、良いイメージをもたれることが少ない動物です。また、ハイエナは、他の肉食獣から頻繁に獲物を奪う動物とされることもありますが、実は、ハイエナの中には、ライオンよりも自分で狩りをすることが多い種もいます。これから、3回に渡って、誤解されがちなハイエナの興味深い生態についてお話したいと思います。

ハイエナと呼ばれるハイエナ科の動物は、実は4種存在します。今回は、4種それぞれの特徴についてのお話です。

ハイエナとは?

ハイエナは、食肉目ハイエナ科に属する動物の総称です。ハイエナは、一見イヌに似た見た目をしていますが、ジャコウネコ科から進化したと考えられており、ジャコウネコと近縁です。

ハイエナ科には、ブチハイエナ、シマハイエナ、カッショクハイエナ、アードウルフの4属4種が存在しています。4種全てが夜行性で、アードウルフを除く残り3種は、強い顎を持ち、硬くなった死肉や骨など他の肉食獣が残したものまで食べることができます。ハイエナは、動物の死骸の分解に、重要な役割を担っています。

以下が4種のハイエナのそれぞれの特徴です。

アードウルフ Proteles cristatus

アードウルフ Photo by Dkaeuferle = Dominik Käuferle / CC BY-SA

形態:体重9kg、体長67cm
分布:東アフリカ、アフリカ南部のサバンナや低木林
社会単位:単独
食べ物:シロアリ、昆虫や鳥のヒナ、小型哺乳類
特徴:
・シロアリが主食、一晩に20万匹食べることもある
・ハイエナの中で最も小さい種

ブチハイエナ Crocuta crocuta

ブチハイエナ Photo by Charles J Sharp / CC BY-SA

形態:体重62-70kg、体長1.3m
分布:西アフリカから東アフリカ、アフリカ南部のサバンナや低木林、砂漠
社会単位:単独、ペア、数十頭の群れ
食べ物:単独では、小型哺乳類や魚、鳥類、昆虫、死肉
群れでは、ヌーやシマウマなど大型の哺乳類、死肉
特徴:
・ハイエナの中で最も狩りをする(餌全体の6割がハンティングで得た獲物。ちなみにライオンは5割と言われている。)
・ハイエナの中で最も大きい種
・メスが偽ペニスをもつ
・複数の声を使い分ける

シマハイエナ Hyaena hyaena

形態:体重35-40kg、体長1.1m
分布:西アフリカ、北アフリカ、東アフリカ、西アジアから南アジアのサバンナや低木林
社会単位:単独
食べ物:死肉、昆虫、小型哺乳類、果実
特徴:
・ハイエナ科の中で唯一ユーラシア大陸にも分布
・果実も食べる肉食性の強い雑食

カッショクハイエナ Parahyaena brunnea

カッショクハイエナ Photo by Bernard DUPONT from FRANCE / CC BY-SA

形態:体重38-47kg、体長1.3m
分布:アフリカ南部のサバンナや低木林、砂漠
社会単位:単独もしくは小規模の群れ
食べ物:死肉、アザラシの子供や小型哺乳動物
特徴:
・砂漠にも生息
・毛が長い
・果実も食べる肉食性の強い雑食

 

次回からは、大きな群れを作り、興味深い形態や生態をたくさんもつブチハイエナについてもっと詳しくお話したいと思います。