焼き芋が美味しい季節です。イモと名がつく野菜の代表はジャガイモとサツマイモですが、分類もイモとして食べている器官も異なります。今回は、ジャガイモとサツマイモの違いについてのお話です。
全く異なる分類群
ジャガイモ Solanum tuberosum は、ナス科ナス属の植物です。同じナス属の野菜には、トマト、ピーマン、ナスなどがあります。
一方、サツマイモ Ipomoea batatas はヒルガオ科サツマイモ属の野菜です。サツマイモ属には他にアサガオやルコウソウなどがあり、花を楽しむための園芸植物として利用されています。
サツマイモもアサガオに似た花が咲きますが、高温短日条件下で花が作られるため、日本だと、沖縄以外では花を咲かせることがほとんどありません。
原産地と栽培地域
ジャガイモは、南アメリカのアンデス山脈が原産地です。一方、サツマイモは中央アメリカが原産地です。そのため、サツマイモはジャガイモに比べ寒さに弱いです。日本では、ジャガイモは2〜3月に植えて5〜6月頃に収穫、もしくは8〜9月頃に植えて10〜11月頃に収穫します。
一方、サツマイモは暖かい時期しか生育できず、日本では5月頃に植えて11月頃に収穫します。
ジャガイモの生産量は、国内では北海道が最も多く、全体の75%以上を占めます。一方、サツマイモは、鹿児島、茨城、千葉、宮崎、徳島、熊本で全体の85%の生産量を占め、東北以北ではほとんど栽培されていません。ちなみに世界では、ジャガイモは、中国、インド、ロシア、ウクライナが生産量の多い国の上位4カ国で、全体の50%を占めます。サツマイモは、総生産量の85%が中国で生産されています。
イモって植物のどこの部位?
ジャガイモとサツマイモのイモは、どちらも栄養を貯蔵するという主要な機能は同じですが、植物の器官としては異なっています。ジャガイモは、茎が肥大したものであるのに対し、サツマイモは根が肥大したものです。つまり、元々地中にある根に栄養を貯蔵するサツマイモと異なり、地中に茎を伸ばしたのがジャガイモです。
地中に茎を伸ばし、その部分が可食部になる植物は、他にワサビやサトイモ、レンコンなどがあります。地面から上に伸ばした茎の主な役割は、葉を日の当たるところまで伸ばし支え、葉や花まで栄養を供給することですが、地下に伸ばした茎は栄養の貯蔵が主な役割です。一方、根は、地中から養分や水分を吸収する役割があります。そのため、細い根をたくさん伸ばして表面積を増やします。茎であるジャガイモには側根が見られませんが、よく見るとサツマイモには側根があります。
普通の植物の根っこよりも随分ぽっちゃり体型になったサツマイモですが、貯蔵だけでなく、土から養分や水を吸収する元々の役割も忘れたわけではないようです。