マンリョウやセンリョウは、鮮やかな色の実で寂しい冬の庭を彩ります。庭にあるのをきれいだなと思って見ていると、1月中旬からだんだんその実が減ってきました。一体誰がが食べに来ているのでしょう。赤いマンリョウと黄色いセンリョウが隣り合って植わっている場所にカメラを仕掛けてみました。
マンリョウにやってきたのは?
マンリョウ Ardisia crenata にやってきた鳥は、ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis でした。
ヒヨドリは、スズメ目ヒヨドリ科の留鳥または漂鳥です。ヒヨドリは、果実を好んで食べる鳥で、冬期には、他にもネズミモチの実や柿など様々な果実を食べます。
センリョウにやってきたのは?
センリョウ Sarcandra glabra にやってきた鳥は、ジョウビタキ Phoenicurus auroreus でした。
ジョウビタキはスズメ目ヒタキ科の冬鳥で、おもに昆虫などを好んで食べますが冬期には、果実を食べる姿も観察されます。
ヒヨドリはセンリョウもマンリョウも食べることが知られていますが、不思議なことに、ヒヨドリは9日間の観察中、観察された4回中4回ともマンリョウだけを食べました。一方、ジョウビタキは同じく4回観察されましたが4回ともセンリョウだけを食べました。少なくとも、黄色いセンリョウ(キミノセンリョウ)と赤いマンリョウに関して、ヒヨドリとジョウビタキで好みが分かれたようです。
鳥によって異なる食べ方
今回観察したセンリョウもマンリョウも高さ60cmほどしかない低木でしたが、マンリョウを食べに来たヒヨドリの大半は、その重みでぐらぐら揺れるマンリョウの上にバランスを取りながら止まって何粒も実をついばんでいました。一方、センリョウにやってきたジョウビタキは、ほとんどの場合、飛びかかるようにしてひと粒ずつ実を取り、近くに着地するという行動をとりました(上の動画)。センリョウの上に止まったジョウビタキが一粒実を取ってバランスを崩し、他の木の幹に飛び移るところも撮影されました(下の動画)。
今回は観察されませんでしたが、ヒヨドリはセンリョウの実を木に止まりながら食べることがあります。体長は、ヒヨドリが28cmほどでジョウビタキが14cmほどと、ヒヨドリの方が倍くらい大きく、小さい木に止まると余計にバランスを取るのが難しいと考えられますが、果実を好む鳥だけあってバランスの悪いところに止まって果物をとるのが得意なのかもしれません。
マンリョウ、センリョウを食べなかった動物たち
ちなみに、カメラには、上記の鳥の他、キジバトとタヌキが写りました。キジバトは下を歩いて通過していきました。下に実が落ちていればついばむのかもしれませんが、わざわざ木になっているものを取ろうとする気配はありませんでした。ただ、キジバトはセンリョウの実を食べることが報告されていますので、餌資源が枯渇してくると行動が変わるのかもしれません。
タヌキも近くを何度も通りましたが、全く関心がなさそうでした。タヌキの場合は、低い位置の実は簡単に取れそうなものですが、おそらくマンリョウやセンリョウを好んで食べることは無いように思われます。