アルパカの仲間とヒトとの関わり
前回 はアルパカの仲間はコブのないラクダであるお話をしました。南米に生息するアルパカ、ラマ、ビクーニャ、グアナコは古くから人間と関わりがあります。
アルパカ
アルパカは毛を利用するために約7000年前に改良されました。大きく分けて茶、黒、白、ネズミ色の4種類の毛色のものが作られ、複数の色が混じった個体もいます。南米先住民族のマントやポンチョにその毛が使われます。主にペルーとボリビアで飼育されており、中でもペルーで最も多く飼育されています。1996年現在で350万頭ほどが飼育されています。
ラマ
ラマは荷物を運ぶための動物として、約7000年前に改良されました。植物があまり育たない地域では、糞が燃料として使用されます。最も多く飼育されているのはボリビアで、次いでペルーです。飼育個体の大半はこれら2カ国に集中しています。1996年現在で、400万頭ほどが飼育されています。20kgから35kgほどの荷物を乗せて、アンデスの山道を一日に30kmほど進みます。
ビクーニャ
ビクーニャはオスが他のオスと闘争するため飼育が難しいです。野生のものは、肉、毛が利用されてきました。ビクーニャの毛はカシミヤよりも細いため非常に柔らかく、その毛織物は最高級品とされています。1960年代にはもともと200万頭いたと推定される個体数が、乱獲により1万頭以下となりました。その後の保護活動により、2018年現在、35万頭ほどに回復したと推定されています。
グアナコ
グアナコは肉、毛を利用するため、野生のものが乱獲されてきました。一部で絶滅の危険がある地域がありますが、生息域全体では、個体数は増加傾向にあり、100万頭が生息していると推定されています。
まとめ
前回と今回の内容をまとめると以下のとおりです。
野生種か家畜種 | 利用 | 自然分布 | 餌資源 | 分布標高 | |
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アルパカ | 家畜種 (原種 未確定) | 毛 | - | - | - |
ラマ | 家畜種 (原種グアナコ) | 運搬・肉 | - | - | - |
ビクーニャ | 野生種 | 毛・肉 | 南アメリカ | 主にイネ科・カヤツリグサ科草本 (狭食性) | 高標高のみ |
グアナコ | 野生種 | 毛・肉 | 南アメリカ | 様々な植物、菌類、地衣類 (広食性) | 低標高から高標高 |
アルパカは、毛を目的に改良され、ラマは運搬を目的に改良された動物です。いずれも原種であるビクーニャやグアナコ同様、もこもことした見た目のとおり比較的低温に耐性があります。さらに、4種とも他のラクダの仲間と同様に乾燥にも強い動物で、寒く乾いたアンデスの高標高地域でも生きることが出来ます。