アルパカの仲間とヒトとの関わり

2024年3月31日 生物

前回 はアルパカの仲間はコブのないラクダであるお話をしました。南米に生息するアルパカ、ラマ、ビクーニャ、グアナコは古くから人間と関わりがあります。

アルパカ

アルパカ

アルパカ Photo by Philippe Lavoie, Public domain, via Wikimedia Commons

アルパカは毛を利用するために約7000年前に改良されました。大きく分けて茶、黒、白、ネズミ色の4種類の毛色のものが作られ、複数の色が混じった個体もいます。南米先住民族のマントやポンチョにその毛が使われます。主にペルーとボリビアで飼育されており、中でもペルーで最も多く飼育されています。1996年現在で350万頭ほどが飼育されています。

ラマ

ラマ

ラマ Photo by Bramans, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ラマは荷物を運ぶための動物として、約7000年前に改良されました。植物があまり育たない地域では、糞が燃料として使用されます。最も多く飼育されているのはボリビアで、次いでペルーです。飼育個体の大半はこれら2カ国に集中しています。1996年現在で、400万頭ほどが飼育されています。20kgから35kgほどの荷物を乗せて、アンデスの山道を一日に30kmほど進みます。

ビクーニャ

ビクーニャ

ビクーニャ Photo by Bachelot Pierre J-P, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

ビクーニャはオスが他のオスと闘争するため飼育が難しいです。野生のものは、肉、毛が利用されてきました。ビクーニャの毛はカシミヤよりも細いため非常に柔らかく、その毛織物は最高級品とされています。1960年代にはもともと200万頭いたと推定される個体数が、乱獲により1万頭以下となりました。その後の保護活動により、2018年現在、35万頭ほどに回復したと推定されています。

グアナコ

グアナコ

グアナコ Photo by Paul Asman and Jill Lenoble, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

グアナコは肉、毛を利用するため、野生のものが乱獲されてきました。一部で絶滅の危険がある地域がありますが、生息域全体では、個体数は増加傾向にあり、100万頭が生息していると推定されています。

まとめ

前回と今回の内容をまとめると以下のとおりです。

野生種か家畜種利用自然分布餌資源分布標高
アルパカ家畜種 (原種 未確定)---
ラマ家畜種 (原種グアナコ)運搬・肉---
ビクーニャ野生種毛・肉南アメリカ主にイネ科・カヤツリグサ科草本 (狭食性)高標高のみ
グアナコ野生種毛・肉南アメリカ様々な植物、菌類、地衣類 (広食性)低標高から高標高

アルパカは、毛を目的に改良され、ラマは運搬を目的に改良された動物です。いずれも原種であるビクーニャやグアナコ同様、もこもことした見た目のとおり比較的低温に耐性があります。さらに、4種とも他のラクダの仲間と同様に乾燥にも強い動物で、寒く乾いたアンデスの高標高地域でも生きることが出来ます。