かたつむりの戸締まり
森の中でカタツムリを拾いました。よく見るとサザエのように蓋があります。何者かと思って調べてみたら、ヤマタニシの仲間でした。
ヤマタニシとは?
ヤマタニシは軟体動物門 腹足綱 原始紐舌類ヤマタニシ科 Cyclophoridae に属する陸生貝類、あるいは種としてのヤマタニシ Cyclophorus herklotsi を指します。名前にタニシとついているとおり、ヤマタニシ科はタニシ科と近縁関係です。
ヤマタニシ Cyclophorus herklotsi の殻の直径は2cmほどで、殻の高さも同程度あります。多くのカタツムリ(陸生貝類)は有肺類に属し、それらは蓋を持たないのに対し、ヤマタニシ科のカタツムリは蓋を持ちます。持ち上げてみると、普通のカタツムリよりも若干ずっしりしています。本州から九州の林床の薄暗い環境に生息します。
アツブタガイ Cyclotus campanulatus もまたヤマタニシ科の陸生貝類です。分布や生息環境がヤマタニシと重なっており、実際、私が見つけたところでも同所的に生息していました。殻の直径が1.4cmほどでヤマタニシより少し小さく、殻の高さが1cm程度と低いのが特徴です。
ヤマタニシ科と一般的なカタツムリの違い
カタツムリという言葉に分類上の明確な定義は無く、陸生の殻を持つ巻き貝の総称として使われています。そのため、ヤマタニシもカタツムリの一種と言えます。しかし、一般的によく目にするカタツムリは、ウミウシなどを含む異鰓類の中の有肺類に属する一方、ヤマタニシはタニシ科などが含まれる原始紐舌類に含まれます。
有肺類に属するカタツムリの特徴
有肺類に属するカタツムリは、殻に蓋がありません。また、触覚が2対あり、目が大きい方の触覚の先端にあります。雌雄は分かれておらず、一つの個体でどちらの機能も持っています(雌雄同体)。
ヤマタニシ科の特徴
ヤマタニシ科は、殻に蓋をもちます。触覚は一対で、眼は触覚の付け根にあります。また、雌雄は分かれています(雌雄異体)。