アダン

2025年2月21日 生物

沖縄に行くと海辺でよく見かけるアダン。大きな果実はまるでパイナップルのようで、南国らしい雰囲気を感じさせてくれます。そんなアダンは一体どのような植物なのでしょうか。

アダンとは?

アダンアダン Pandanus odoratissimus は、タコノキ科タコノキ属の常緑樹です。タコノキ属の植物は世界に約450種知られており、アジア、アフリカ、環太平洋の熱帯地域に分布します。ちなみにタコノキという名の由来は、タコノキ属がもつ植物体を支える気根の一種、支柱根がタコの足のようであるためと言われています。日本には、タコノキ、アダン、ホソミアダンの3種のタコノキ属が生育しますが、九州以北に分布するものはありません。アダンは、国外では中国南部、東南アジアの亜熱帯から熱帯の海岸でみられ、国内ではトカラ列島以南に生育します。

アダンの利用

アダンは海岸でも育つため、防潮林、防風林、砂防林として利用されるほか、観賞用に庭園に植栽されたり、街路樹に用いられています。また、南西諸島では、葉で敷物や座布団、草履などを作ったり、気根を裂いて作った縄でカバンを編むなどして利用されてきました。

海の流れを使って散布される種子

アダンの実

熟したアダンの実:Miinuspiste, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

アダンの実は、10cmから15cmほどのパイナップルのような見た目の集合果で、一つ一つの実は、長さ5cm幅4cmほどの大きさです。熟れるとオレンジ色になり、甘い香りがします。雌雄異株であるため、果実は雌株にのみ実ります。

ヤシガニ

ヤシガニ Photo byDrew Avery, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

ヤシガニが好んでその実を食べることが知られています。

アダンの実

アダンの実 表面が劣化して、内部の繊維があらわになっている。

アダン

種から発芽したアダンの実生

一方で、アダンの実の種子散布は主に海流によって行われていると考えられています。密な繊維によって包まれた果実は空気を含みやすく、水が染み込みにくい構造になっており、海面に長時間浮かぶことができると考えられています。