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2025年3月28日 生物

やっと冬の寒さが和らぎ、行楽日和のお天気が続くようになった頃に合わせてやってくる花粉症。なんでこんな嫌がらせのようなタイミングなんだ!

どうしてスギ・ヒノキで日本中がえらいことになるのか?

山
日本の国土の67%は森林で、その森林のうち約40%が人工林です。そして、その人工林のうちスギが44%、ヒノキが25% を占めており、この2種だけで全体の約70%を占めています。 これだけ多く植林されている上に、国内での林業活動の低迷に伴い花粉を多く生産する30年生以上の個体が伐採されずに生育しているという状況が、スギやヒノキ花粉が全国的に大量に飛散する原因です。

そもそもスギ・ヒノキはどうして多量の花粉を生産するのか?

スギ

スギの花粉:見ているだけで花がムズムズする。

多くの植物は花粉を散布する方法によって、動物媒植物(昆虫や鳥などの動物によって送粉する植物)と風媒植物(風によって送粉する植物)とに大きく分けられます。種子植物の大多数を占める被子植物の約87.5%は動物が花粉を媒介すると考えられている一方、スギやヒノキなどを含む裸子植物の多くは風に送粉を依存します。

動物媒植物は目立つ花を咲かせたり、花に訪れた昆虫に花蜜などの報酬を与えるなどして昆虫などの動物を呼び寄せます。動物は連続的に同種の花に訪れることが多く、そのため動物媒植物は比較的少量の花粉であっても送授粉を達成することができます。

一方、風媒植物の送粉は風まかせです。そのため、一粒一粒の花粉が雌しべに到達する可能性は動物媒植物に比べて低いです。そこで風媒植物は目立つ花や蜜を作ることにエネルギーを使わない代わりに、大量の花粉を作り、数撃ちゃ当たる戦略で花粉を散布します。

なぜよりによって春なのか?

ハイビスカス

いつ花を咲かせるかは、送粉様式に強く関連します。というのは、動物媒植物の主要な送粉様式である虫媒植物の場合、花粉を運んでくれる虫が少ない時期に花を咲かせても意味がないからです。そのため、虫媒植物は虫が活発に活動する暖かい時期に花を咲かせます。暖かい時期といっても、真夏のような暑すぎる時期には虫も活性が低下するため、日本の低地では真夏に花を咲かせる植物は春、秋に比べると少ないです。一方、虫を利用する必要のない風媒植物なら花を咲かせるのはいつでも良さそうですが、実はそうでもありません。

スギ

スギの雄花

風によって花粉を遠くの木まで運ぶには、できるだけ障害物が少ない方が有利です。そのため落葉樹が葉を落としている時期のほうが、葉に邪魔されずに花粉を遠くまで大量に飛ばせることが期待されます。実際、風媒植物は展葉前の早春に花を咲かせるものが多い傾向があります。スギやヒノキは常緑の針葉樹なので一年中葉がありますが、自然林では他の樹種と混ざって生育していることが多いため、もし落葉樹の葉が茂る時期に開花すると、それらの葉に花粉の散布が妨げられる可能性があります。さらに、日本の多くの地域では、最も風の強い日が多い季節は春です。そのため、春は風媒植物にとって花粉を遠くまで飛ばしやすい最適な時期だと考えられます。